明日は明日の風が吹く

双眼鏡を新しく買って頂いたお客様から、今まで使っていた古い双眼鏡が綺麗になるものだろうかという相談を受けまして、
でもどのくらい綺麗にできるものなのか、私としてもすぐには答えられず、
とりあえず預かって、様子を見ながらクリーニングその他をやってみましょうということになりました。

構造自体はそんなに難しくないはずですが。

[4回]

預かった双眼鏡を見てみますと、

スーパーフジ？
富士フィルムは双眼鏡を作ってますが、これは、富士フィルムのこと？
ネットで検索すると、スーパーマーケットがヒットします。
うーん、よくわからないけど、まずは状態を確認してみましょうか。

覗いてみると、レンズは結構曇ってますね。
チリなどで汚れているだけならクリーニングで綺麗になると思いますが、コーティングが侵されていると簡単にはいきませんよね。
それに光軸も結構ずれてますね。おかげで視野が狭い感じ。
光軸調整シロがあるのかな？

その辺も踏まえて、バラしてみましょうか。


では接眼レンズ側から、
とりあえずはアイカップを外してみましたが、後ろからはバラせなさそうですね。
なので、真ん中のヒンジ部分をバラしましょうか。
プラスネジで留めてある黒いカバーを外して、


真鍮の大きいネジを外しましょう。


経年劣化のためなのか、加工技術が悪かったのか、ネジ部が少し削れてますね。
で、これで、接眼ユニットが外せます。


左右の間にはシムが入ってます。
左右とも外したら、対物側へ、


対物ユニットも、まるごと外します。
全体を握って、回せば外れますね。


はい、外れました。


左右がわからなくならないように、印をつけときましょう。


では、プリズムにアクセスしてみます。
前側のカバーと、


後ろ側のカバーも外します。
まずは黄矢印の筒状の部分を、対物ユニットと同じように外してから。


するとこのように、プリズムがあらわになります。


矢印のマイナスネジを外せば、プリズムを取り外すことが出来ます。
ですけどこの時、プリズムの場所や向きなどがわからなくならないように、マーカーで印をつけておきましょう。

プリズムの接地面には、紙のシムが入っていました。
これでおおまかな光軸調整をしているんでしょうね。
どの位置にどのくらいのシムがあるのか確認しておきます。

そしたら外したプリズムをクリーニングしましょう。
見てみると結構曇っていましたが、クリーニングでかなり透明度が戻ってきました。
これならいけるかも。

ではでは、外した前後のレンズもクリーニングしてみましょう。


対物レンズなんですが、矢印の部品、回すと偏心する構造になっていますね。
これで光軸を合わせるんですね。


外してみるとこんな感じ。
上の方が厚みがあって、下の方が薄くなっているのがわかると思います。


で、対物レンズは、リング上のカニ目ネジを外せば取り出せます。


レンズの向きがわからなくならないように、これも印をつけておきましょう。
ですけど貼り合わせてありますので、これ以上は分解困難です。
まぁ、バルザム切れも無いようですし、クリーニングでかなり綺麗になりました。
ただし、コーティングはちょっとヤラれてますね。
でもこれぐらいなら、見え方にほとんど影響ないはず。

で、接眼レンズも、

貼り合わせ部分以外はバラせましたので、ほぼ全部クリーニング出来ました。

ではでは、これらを組み直して、
最後に対物レンズ部の光軸調整リングで合わせてやりましょう。

うん。
なんか、すごくよく見えるようになりました。
光軸も合って、とても見やすい。
目の前が、パッと晴れた感じです。
これならまだまだ現役で十分使えますね。

もしかして新しい双眼鏡、要らないって言われるかなぁ…