尾道発 - カメラ屋の独り言 - Presented by せいのカメラ店
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例えば新幹線からの風景を携帯電話などで撮影した時、近くの風景がねじれて写ったりしたことは有りませんか?または、速く動くものを撮影すると歪んだり、例えばこんな感じです。手前の車も奥の車も、ちょっと後ろに斜めになったように写ってますね。
[2回]
これはどうして起こるかといいますと、デジタルカメラの宿命で、撮像素子の一列一列、順番に露光しているためです。つまり最初の写真で言うと、撮像素子の一番上の一列目が露光され、それが終わると一列下に移って、二列目が露光されます。それ以降同じ事を繰り返し、画面の一番下の列まで露光して、一枚の写真の露光が終わります。一般的に、デジカメであればメカニカルシャッターが付いていますので、こういうことは起こりにくいのですが、スマホのカメラのようにメカニカルシャッターが付いていなものでは、こういう不具合が起こってしまうんですね。もちろんiPhoneでも同じ事が起こります。iPhone5の場合、800万画素で画面比率が4:3ですので、ピクセル数は、およそ3266×2449程だと思います。仮にそうだとすると、画面一番上の3266個の画素がまず露光を行い、それが終わるとその下の列の3266個の画素が露光を行います。そして次に3列目、4列目と続き、2449列目まで露光して一つの写真ができるということになります。これを実際には猛スピードでやっているわけですが、それでも1列目と、2449列目では時間差ができてしまうわけです。その結果、先ほどの写真で言うと上より下の方が後で写したものになり、動くものは、下に行くほど、ちょっと先の様子が写ってしまうということになりますね。だから下に行くほど車は進んでいって、斜めに写ってしまうわけです。そこでちょっと思ったのですが、もしかしてスリットカメラのようなことが出来るのかもというのが今回の出発点です。スリットカメラというのは、フィルムカメラの特殊な撮影方法で、レンズの前にスリットを置いて、シャッターを開けたままにして、移動するものと同じ方向にフィルムを巻き取っていくことで、長く移動するものを撮影する方法です。例えば、列車の全体像であるとか、陸上競技の順位の判定用とか。で、iPhoneの撮像素子もスリット状に撮影しているわけですから、そのスリットの移動にあわせてカメラを移動させれば、スリット写真と同じようなものが撮れるかもしれません。では、そうですね、店の前を走る車を撮ってみましょうか。最初の写真ではiPhoneを横位置に構えていますが、今度は縦位置に構えて撮影してみます。あれ?ちょっと車が短く写ってます?おお、今度はロングホイールベース。もう一発。左に走っていくものは長く写り、右に走っていくものは短く写ります。これおもろいですね。つまりこの画面で言うと、右から左に向かって1列づつ撮影されているわけですね。では、流し撮りをしたらどうなるんでしょうか。車はちゃんと写ったみたいですが、なんか道路が曲がっていませんか?反対向きは?今度は反対に曲がってますね。なんでこうなるんでしょうね。じゃぁ、車無しで、風景だけ撮ってみましょうか。まずはiPhoneを右に降って撮影。やっぱり糸巻き状に湾曲していますね。では反対、iPhoneを左に振って撮影すると、やっぱり樽型に湾曲しました。しかもよく見ると、右に振った時は横長になって、左に振った時は縦長に写ってますね。これ、もしかしたら使えるかも。右に振って写したら横広で、左に振れば、おお、やせて写る。横位置でも応用出来ますね。上から下に振ってやれば太って、下から上に振ってやればやせて写る。ちょっとおもろい。