忍者ブログ

尾道発 - カメラ屋の独り言 -  Presented by せいのカメラ店



×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 

ミノルタの名玉、M-ROKKOR 28mmの前玉が曇るという持病は周知の事実ですが、それを自分で直したいという人のためにこのブログで情報発信しております。
その影響もあってか、各方面からまた使えるようになったという声も聞こえてきます。
そういう話を聞くと、このブログで情報発信していてよかったなと思えてきます。
それで、私自身もレンズが曇って売りに出しているレンズを時々買って、直したりしています。
それで今回もそんなレンズをネットオークションで買ってみたんですが、

あれ?

==========================
このブログもVer.2へ
新記事チェックは下記へ
明日は明日の風が吹く Ver.2

※Ver.1では今後更新されません。
==========================

拍手[9回]

化粧リングを外してみると、前玉のカシメを起こした跡が有りますよ。
でもレンズは曇ってますが…
もしかして自分でレストアしてみたものの、残念ながら状態が悪くて復活できなかった個体でしょうか?

と思ったんですが、よく見ていますと、起こされたカシメはガタガタになってます。
修理が終わったのなら、カシメ直すと思うんですが。

もしかしてこれは、
カシメを起こしてレンズを外そうと思ったものの、うまくカシメを起こすことができずにほっとかれた物なんじゃないですか?

そうか、雑な作業をしてしまったおかげで、余計に外れにくくなってしまったんでしょう。
前群の鏡胴とレンズのはめ合いは結構ギリギリに作ってありますからね。
いい加減にやってるとそんなことも起こってしまうかもしれません。
それに、無理に外そうとしたためか、レンズ周囲には細かい割れが何箇所か有りますね。

ああ、このブログの記事が悪影響を及ぼしてしまったんですね。
なんか悲しい。

でも仕方が有りません。
これもなんとか救済できないかやってみましょう。

が、しかし、カシメ部分を広げようと試みたんですが、もうかなり傷んでしまっていて、レンズと鏡胴に隙間を作ることができなくなっています。

では穴あけ法を流用して、開けた穴からレンズを押し出せないかと思ってやってみましたがやはりダメ。

となれば、鏡胴が使えなくなったとしても前玉が取り出せれば他のレンズに流用できますからなんとかして取り出してみましょう。


そこで、黄矢印のように、周囲のネジ部にノコを入れて、枠部分が広げれるようにしてみましょう。

と思ってやっていましたら、
ああ、あああ、
大失敗。
枠部分をちょっとこじったら、大事なレンズが割れてしまいました。
周囲に細かい割れがあったのも原因かもしれません。

いやー残念。
これではもう使えませんね。

こうなったら仕方がない。
とにかくレンズを外してみて、こういう場合の安全な外し方が出来るのかどうかやってみます。


周囲のネジ部に切れ込みを入れた上で、矢印の部分にもノコを入れて枠の半分が分離できないかやってみます。

と、

枠部の半分を取ることができ、前玉を外すことができました。
カシメが悪くなって外せなくなったレンズも、ここまでタレば外すことができますね。

レンズも外れましたので、こうなった原因を調べてみます。
すると、黄矢印の枠部の内側、レンズと接触する部分ですが、
カシメを起こす作業の影響でしょう。
少し内側に膨らんでしまったようで、そのためにレンズとの隙間がなくなり外れなくなってしまったようです。

で、せっかく外れた前玉を試しにクリーニングしてみますと、持病のブツブツもほとんど無く、綺麗になるでは有りませんか。

ああ、なんとももったいない。
このブログでカシメを起こして直せるということを伝えていなければ、こんなことも起こらなかったことでしょう。

カシメ起こしに関する記事は封印した方がいいのかもしれませんね。

今後こういう悲しい個体が出現しないことを祈るばかりです。

しかし最も悪いのは、作業に失敗して難しい状態になっているにもかかわらず、それを隠してネットオークションに出すことです。
それと分かっていればもっとうまく対応できる可能性はあったと思います。

PR

 
◎ Post your Comment
Name
Title
E-mail  ※アドレスは公開されません
URL
Comment
Pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
◎ かしめ起こしは難しい。

私が行ったカシメ起こしは成功率50%。失敗例はカシメとレンズの間に精密マイナスドライバーを指したさいに、レンズの渕が欠けました。最終的に磨いて組み上げマイクロフォーサーズ用のアダプター遊びに使っています。

ブロニカRF645 2013/09/11(Wednesday)20:26:42 Edit
◎ Re:かしめ起こしは難しい。

ブロニカRF645さん、コメント有難うございます。
確かにカシメ起こしは難しいですよね。
レストアの敷居を低くしようと思って、簡単に見えるように書いている部分も有るかもしれません。
もうちょっと正確に伝えるように気をつけてみましょうか。

【2013/09/1219:10】
◎ 無題

以前コンタフレックスの件でお世話になりました。

カメラやレンズの分解って特に慣れないうちは失敗はつきものだとは思います。
私も2台ほどダメにしたことがあります。
いい勉強になりましたし、部品取りとして活躍してくれました。

しかしそれを隠して出品するのはあまりにもモラルに欠ける行為ですね。

とは言えせいさんの記事はその失敗を避ける意味でも大変参考になりますので、これからも時々紹介していただけると助かります。

おぐ 2013/09/12(Thursday)12:59:56 Edit
◎ Re:無題

おぐさん、コメント有難うございます。
そうですね、経験を重ねてうまくいくようになりますからね。
そういう意味でも、私自身の失敗例を載せるのは重要かもしれません。
失敗こそ成功のもとですからね。

【2013/09/1219:12】
◎ かしめ起こしについて

こんにちは。初めてコメントさせて頂きます。ここのブログにお世話になって、28mmを清掃したものです。
その際、色々な事を学びながら清掃する事になりました。
自分もカメラの修理はそれなりにしていますが、かしめ起こしは本当に難易度が高いです。個人的には、下手にかしめを起こしてレンズがはずせず無理をするよりは、かしめを取り去り、後はゴムやテープを用い、前リングを利用してかしめの代用にするのが一番良いのでは?と思っています。
次に、曇りの再発についてですが、これは(お気づきかもしれませんが、)前玉のコバ塗料に由来するものだと考えています。だから、前玉は一度はずして、墨汁でリペイントが一番良いと考えています。
前玉が外れない場合は、鏡胴両側に穴をあけて、二つの穴からたけぐしで、綿で保護しながら同時に押すと外れます。
穴は、やすりを利用すると中玉が危険なので、比較的径の大きいピンバイスで、一度にあける方が失敗しません。
今回コメントしようと思ったのは、実は一本駄目にしてしまったのと、その後オークションで落札したレンズのかしめが、最初から外れていたからです。けど、前玉は外せない状態でした。
このブログは大変有用な情報源と思いますが、こういった細かいテクニックも書いてしまった方が、個人で使う分のレベルでは清掃が成功し、変な玉がオークションに出ることがなくなるのでは?と思ったからです。
正直、M-ROKKOR28mmが、最初から前玉をネジ枠で固定していればと考えてしまいます。ただ、そうでない以上機能を損なわない範囲で、より簡単な方法で多少非可逆でも成功率が高い方法の方がこのレンズの為なのでは?と思った次第です。
本当にこのブログの情報は大変有益です。心から感謝しております。だからこそ、その影響の大きさを利用して、どうやったら壊さないで済むかというコツが書いてあればなぁと思うのです。
長文失礼しました。これからもこのブログ、楽しく読ませて頂きたいと思っています。

ぬこpen 2014/08/11(Monday)00:26:55 Edit
◎ Re:かしめ起こしについて

ぬこpenさん、コメント有難うございます。
そうですよね。
このブログの記事による悪影響も色いろあるみたいなんですよね。
ですので、一連の記事を削除してしまった方がいいのか、それとも精度を上げていった方がいいのか、悩みどころです。
ぬこpenさんのように、皆様からの意見がコメントとして多数いただけると、より精度も上がっていくかもしれませんね。

【2014/10/2110:23】
◎ 大変参考になりました

内部ブロック切断分解画像を見て穴開け加工での参考にさせて頂きました。
卓上旋盤でも所有していればカシメ(しぼりローリング加工ですかね)部を削る気になりますが手加工では面倒な様子が伺えましたので穴開けを行いました。
前玉ブロックの直径23mm部分に正三角形となる様に3ヶ所開けて見また。一辺長は√3rとして19.9mm間隔としました。理由としては、将来正面から丸見えになるので「見せるため」のデザインを考え、話のネタにもしたかったからです。これで商品価値はゼロとなりますが修理の楽しい思い出は一生ものです。
ここで、面白い経験をしました。
穴開け後でのドリルクズがうまく除去出来なかったので「工場新設で配管業者がネジ切クズやテープクズ除去での水通し」を行っていったことを思い出し、この穴から水道蛇口の勢い圧で水通しを行いました。結果はアルミクズが完全に除去出来て、「なななんと」ついでにレンズ内面のツブツブと薄曇り汚れが全て取れて、それはもうピッカピッカの純透明になりました。ひょっともしたら水溶性のコーティング剤を塗布して密閉してあったのかなとも思いましたが時すでに遅しでピカピカになったことだけを喜びとしました。
これなら下手に綿棒で擦ったら逆に汚れてしまうのではと思わせる外観でしたのでそのまま穴周囲のアルミ光沢部分につや消し黒ペンキを塗って組立て完成としました。
実用にならず捨てるつもりで壊れてもいいか!でやって見ましたが貴殿の記事のお陰で生まれ変わりありがとうございました。
今後の内部掃除は「穴開け済み」なの2カ所緩めるだけで何時でも簡単にできてしまいますので末永く使えそうです。 ご参考までに。

ha-hi 2018/03/23(Friday)21:34:42 Edit
◎ Re:大変参考になりました

ha-hiさん、コメント有難うございます。
水できれいになったんですね。私の経験上では、曇っているだけのような症状の軽いものであれば、拭いただけできれいになることもありましたので、そのような場合なら水で流してきれいになることもあるのかもしれませんね。
ですが、時間が経つに連れてコーティングまで侵された個体が増えてきました。そうなってくるとレンズの研磨でもしない限りきれいにならないことも多くなってきました。
そういう事もあって、当店でこのレンズの曇り取りをお受けするのはやめてしまいました。
しかしお持ちのレンズは深刻ではなかったようで良かったですね。
このブログの情報がお役に立てて嬉しく思います。
ぜひ他の修理も楽しんでください。

【2018/03/2619:27】
◎ カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
◎ Facebook
◎ せいのカメラ店HP
◎ ブログ内検索
◎ 最新CM
[05/29 ストウ]
[05/09 alubauten]
[05/07 alubauten]
[05/06 alubauten]
[03/23 ha-hi]
◎ プロフィール
HN:
清野浩也
性別:
男性
自己紹介:
せいのカメラ店
◎ ハルサーエイカー
ハルサーエイカー
◎ 琉神マブヤー

Script: Ninja Blog 
Design by: タイムカプセル
忍者ブログ 
[PR]