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尾道発 - カメラ屋の独り言 -  Presented by せいのカメラ店



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オリンパスPEN EE-2のレストア解説の5回目。
前回は絞りとシャッターのレストア方法をお伝えしました。
今回は露出計について書きましょう。
ではまずは動いているかどうかの確認です。
第2回の一番最後の写真を転用します。
DSCF7385.jpg
軍艦部カバーを開けて、緑矢印の部分に光を当てたり、手で覆ったりして、赤矢印の針が動いていればほとんど正常です。
ここでは動いていなかった時のことを書きます。

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拍手[9回]

でも厄介なのはごくわずかだけ動いている時です。
この場合は受光素子であるセレンが劣化していることが考えられます。
劣化したセレンはほぼ復活できない可能性が高いです。
そうなると部品を交換するしかありませんが、新品のセレンはありません。
なので、他から取って来るか、代替品として太陽電池を使うかと言うことになります。
しかしこのカメラのセレンは円形ですし、感度設定はセレンに当たる光を遮ることで調整しています。
そうなると形が同じでないといけませんので、そこに付けられる太陽電池は存在しないと思います。
ですので直すとなると、他から取って来るという道しかないでしょう。
ということで、それについてはここでは割愛いたします。
でも実際には劣化していない場合が多いですのでそれについては機会を見てお伝えしましょう。

では話しは戻って、もし光を当てても針が動いていなかったら、
DSCF7536.jpg
矢印の針を細いドライバーとかで軽く動かしてみましょう。
もし軽く動かないようでしたら、メーターの物理的な故障です。
しかし動くようなら、電気的な不具合の可能性が高いです。

ではまずは針が動いていた場合、つまり電気的な不具合の場合の解説をします。
DSCF7538.jpg
メーターの上に貼ってあるテープをはがして、穴の中の赤矢印の部分と、緑矢印の部分(アース)にテスターをあてて、電気が来ているかどうか確認して下さい。

セレンに光を当てて電圧が変わるようならセレンは生きています。
その場合はメーター内のどこかに電気的な不具合が有ると考えられます。

しかし全く電圧が上がらないようならセレンの不具合です。
セレンの修理かを交換しましょう。

では電圧がいくらかあって、光で変化している場合は、まずこの赤と黒の線を外します。
メーター部分の半田をとるのは難しいですので、途中の適当なところで切ってしまいましょう。
元に戻す時はそこを半田付けしてビニールテープで絶縁すればいいです。

線を外したら、先程と同じくテスターをあてますが、今度は導通を調べて下さい。
この時、導通があるようならOKですし、テスターの電気で、メーターの針が振れると思います。
針が動くようならメーターは正常ですので、セレンの発電が弱すぎると言うことになります。
その場合もセレンの交換です。

導通もなく、電池をつないでも針が全く動かない時。
その場合はメーターの内部がどこかで断線しています。
この場合は断線箇所を特定することはまず無理です。
ですのでメーターをどこかから取って来て交換するか。
代替品で修理します。
でも代替品がうまくフィットする確率は低いですので、ほとんどの場合交換ということになるでしょう。

では前に戻りまして、メータの針を軽く動かしても動かない時。
その場合はメーター内のどこかにゴミが入っていたり、スプリングが引っ掛かっていたり、軸受けが外れていたりと言うことが考えられます。

ではメーターとファインダーのユニットを外してひっくり返します。
外し方は第3回の最後を参考にして下さい。
DSCF7540.jpg
ひっくり返した状態がこちら。
そしたら赤矢印のフタを外しますが、緑矢印部分に接着剤が付いていますので、これをはがしてフタを取りましょう。

DSCF7543.jpg
赤矢印の指針がどこかに干渉していないか、黄矢印のような隙間にゴミなどが入っていないかをよく確認しましょう。
メーターの中心部は磁石になっていますので、そこに小さい鉄片が着いていることもよくあります。
この状態でよく確認できないようであれば、
DSCF7539.jpg
メーター上側の矢印の2本のマイナスネジを外して、メーターユニットを引っ張り出して確認して下さい。
ゴミなどが取れて、針が軽く動くようになればOKです。

他には針にテンションをかけている細いスプリングがうまく機能していない場合もあります。
DSCF7544.jpg
軸に巻き付くようにないっているのがスプリングです。
これがどこかに当たってしまっている場合や、曲がっている場合は針がうまく動きません。
横から見てこの渦巻きが同一平面になるように微妙に調整します。
これは非常に繊細ですので気合を入れてやってください。

そのほかにも、軸受けがずれている事もあります。
3個前の写真では正常ですが、メーター内部を見て、コイルが中心からズレているようなら軸受けが外れています。
その場合は、中心の赤くペイントされている部分のマイナスネジを緩めて、軸をはめなおします。
この作業も繊細です。
そしてもう一度中心のマイナスネジを締めます。
この時締め過ぎないように、針が軽く動くようにして下さい。

これで大体メーターは動くようになったはずです。
動くようになったら組み直してください。
はがしたビニールテープなどは、新しく貼りなおした方がいいでしょう。

そして組み終わったら、メーターを調整します。
DSCF7546.jpg
赤矢印の2本のプラスネジを少し緩めます。
そして緑矢印の真鍮の円盤を回転させて調整します。

20110420001.jpg
ASAを400にして、比較的明るめの室内に置いた時、赤矢印あたりに針が来るように調整します。
又は、部屋の照明の方を向くように机の上などに置き、黄矢印あたりに針が来るように、もしくは、晴天の直射日光に向けて、緑矢印あたりに針が来るように、などを目安に調整してみて下さい。
もし実際に撮影してみて、写真が暗くなるようなら、針をもう少し向かって右に寄せます。
逆に写真が明るくなり過ぎるようなら、向かって左に少し寄せましょう。

以上がメーターの大体の修理方法です。

おまけとして、
DSCF7542.jpg
メーターを外した時の軍艦部はこうなっていますが、巻き上げてシャッターチャージをしたあと、赤矢印のようにシャッターボタンを押した時、緑矢印のようにスムーズに赤ベロが出てくるようなら問題ないですが、出てこないようであればどこかが引っ掛かっているかもしれません。
とりあえずバラして、洗ってみて下さい。
洗浄には呉工業の「エレクトロニッククリーナー」がお勧めです。
これは樹脂パーツがあっても大丈夫です。

今回の内容はちょっと難しいと思いますが、チャレンジしてみて下さい。

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◎ PENの赤ベロ

はじめまして。PEN EEで検索してこちらのブログに辿り着きました。
EES2のファイダーを清掃したところ赤ベロが出なくなりました。また、レンズキャップを付けていてもシャッターが切れます。セレンの針は明るさに応じて動いており、シャッターもそれに応じて制御されているようです。これは、露出範囲外のチェックはできないが、撮影は可能という状態と思われますか?
また、清掃中にいつの間にか長さ1センチ程の細い針金のような物が出てきたのですが、この部品?の破損が赤ベロ故障の原因という可能性はありますか?針金は銀色で柔らかく簡単に曲がります。他に考えられる原因があればご教示ください。
初めてのコメントで質問をお送りしてしまい恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

alubauten 2018/05/06(Sunday)16:35:19 Edit
◎ Re:PENの赤ベロ

alubautenさん、コメント有難うございます。
赤ベロが出てこないとのことですが、キャップをするなど暗い状態にしたときに、露出計の針が、最後から2番目の写真の赤矢印の位置よりさらに右に振れて、前側の板から針が外れているか見てください。
外れる位置まで振れていれば、前側の板がぐっとせり上がってくるはずです。
外れる位置まで振れていないなら、振れるように露出計を調整してください。
外れる位置まで振れているなら、赤ベロがどこかに引っかかっていると思いますので、引っかかっているところを探してください。
1cmほどの針金のようなものについては良く分かりませんが、もしかすると、どこかのスプリングが折れてしまったのかもしれません。
そうなると、シャッターや絞りの制御がうまくいかなくなることもあります。
遊んでいるスプリングがないか確認してみてください。

【2018/05/0710:17】
◎ 無題

早速ご回答いただきありがとうございます。
露出計の針は明るさに応じて動いており、レンズキャップをはめて真っ暗にすると右に振り切れます。その時にシャッターボタンを押すと、前にある板が針の上までせり上がるので、この部分の動きは正常だと思います。その後の制御ができていないのでしょう。やはり確認するには分解しないとわかりませんね。あまり自信がないので、色々調べてからトライしたいと思います。
このカメラは祖母の遺品で、私はまだ使ったことがありません。清掃してモルトを貼り替え、いずれスナップでもと思っています。スタイリッシュで気軽に使える良いカメラだと思います。

alubauten 2018/05/07(Monday)20:19:52 Edit
◎ Re:無題

alubautenさん、引き続き有難うございます。
露出計が振り切れているなら、赤ベロがどこかに引っかかっている可能性が高そうですね。
一つ考えられるのは、「絞りを洗う」の最後の写真の、赤ベロの部品とリンケージとの位置関係やスプリングのかかり方が影響しているかもしれません。
http://pronto.blog.shinobi.jp/Entry/802/
ペンシリーズは小さくてかっこいいですよね。革を貼り替えるのも楽しいと思います。

【2018/05/0809:54】
◎ 直りましたが

度々アドバイスいただきありがとうございます。
軍艦部だけ開けて観察したところ暗い状態でシャッターボタンを押すと赤ベロが微かに動いていました。ファインダーの隙間からピンセットで赤ベロを
引っ張り上げると上まで出てきます。そこで、軽く注油したら完全に動くようになりました。赤ベロが出るとシャッターは切れません。直ったと思って喜んでいたら、シャッター幕に油が付いて閉じなくなってしまいました。油を垂らさずに小筆で塗る程度にしておけば良かったのでしょう。
今度こそ分解、清掃しなければなりません。EES-2のブログで調べてトライします。

alubauten 2018/05/09(Wednesday)01:32:39 Edit
◎ Re:直りましたが

返信が遅くなりました。
シャッターは簡単に分解できますが、2枚が同じものではありませんので、組付けに注意してください。

【2018/06/0117:45】
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