尾道発 - カメラ屋の独り言 - Presented by せいのカメラ店
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
14日の記事ではレンズユニットを分解してシャッターユニットをあらわにしました。 ではこれからシャッターが開かないと言う不具合を直していきましょう。 その前に、このカメラのシャッターの構造を見てみましょうか。
[1回]
このカメラのシャッターは単純ですので、機構が分かりやすいと思います。 まずシャッターが押されると、赤矢印の部品が矢印の方向に動きます。 するとそれに押されて緑矢印のように次の部品が押され、スプリングでテンションが掛かっていた青矢印の部品も同様に動きます。 こんな感じでそれぞれ矢印の方に動いていきます。 この時、真鍮の部品の反対側はこのように動いていきます。 更に動いていくと、黄矢印の突起を超え、引っ掛かります。 これでシャッターセットが出来た状態になりました。 そしてシャッターボタンの動きを伝えている赤矢印のレバーは、真鍮色のレバーとの引っ掛かりの限界点をむかえます。 この時青矢印の部品の方は、すでに動作の限界をむかえていて、真鍮色のレバーからは離れた状態になっています。 引っ掛かりの限界を超えた真鍮色のレバーは、緑矢印のように戻ってきて一旦ここに引っ掛かります。 この時反対側では黄矢印のように連動したレバーを押し、シャッターが開きます。 でもまだ引っ掛かりは残っていて、シャッターを開け続けます。 緑矢印の真鍮色のレバーは青矢印の部品に引っ掛かっていましたが、戻る力で青矢印のようにレバーを動かします。 青矢印のレバーの反対側にはフライホイールがあって、青矢印の部品が戻る時間を遅らせます。 このことでシャッタースピードが調整されます。 シャッタースピードの調整は、シャッターセットされる祭に、青矢印の部品をどこまで動かしておくかで行います。 つまり、あまり動かさずに停めておけばフライホイールはあまり回されず、シャッタースピードは速くなりますし、沢山動かせておけば、戻る時にフライホイールを多く回すことになり、戻る時間が永くなってシャッタースピードは遅くなります。 そして最後には真鍮色のレバーは完全に戻り、黄矢印の部品との引っ掛かりが外れてこの部品も元に戻り、シャッターが閉じると言うわけです。 で、問題はこのシャッターが切れないと言うことです。 その不具合の原因はここから先にありました。 一旦上まであがった赤矢印のレバーは、シャッターボタンから指を離すと上の写真のように元のポジションまで戻ってきます。 この時緑矢印の部分の下をかすめるようにして戻っていきます。 どうやらここで引っ掛かって赤矢印の部品がちゃんと最後まで戻らず、次にシャッターボタンを押した時には緑矢印の部品に引っ掛からず、動かすことが出来ない状態になっていました。 模式図で説明します。 下の図は上の写真の橙矢印の方向から見たものと思ってください。 斜めの線が真鍮色の部品の引っ掛かる部分。 垂直に立ったのが一連の写真の赤矢印の部品の引っ掛かり部分です。 「1」で、シャッターが押されると右へ移動していき、「2」で斜めの部品の端に当たり、そのまま押し続けて引っ掛かりの限界点をむかえます。 限界を超えると、斜めの部品は「3」のようにもとに戻り、シャッターボタンから指を離すことで、垂直の部品は右方向に戻っていきます。そして「4」のように斜めの部品に当たりますが、それを押し上げて元の位置まで戻るはずです。 が、「4」の状態で止まってしまって最後まで戻っていないのが不具合の原因です。 なので、赤矢印の部品を下に押し下げるように少しだけ曲げて、真鍮色の部品との接触部分にほんの少しグリスをつけました。 と言うことでこれで動くようになりました。 修理自体は簡単なものでしたので後は組みなおします。 残りの不具合はモルトの劣化と、ヘリコイドの硬さですね。 だがしかし、露出設定をオートにした室内の暗い環境の時も、マニュアル絞りの開放の時も、なんか完全に開放になっていませんね。 何かちょっと絞りの動作関係のあたりの動きが悪いようです。 これは新たな不具合発見です。 では改めて修理に挑みますか。