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尾道発 - カメラ屋の独り言 -  Presented by せいのカメラ店



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昨日の記事で絞りが動くようになったことをお伝えしました「フレクトゴン35mm」ですが、その記事の最後に書きました通り、自動絞りに設定するとある程度絞られてしまうという状態になってしまいました。
言ってみれば、5.6か8位の状態になってしまうんです。
何でかなぁと思って色々見ていましたら、ここじゃないかなと言う所を見つけました。
DSCF0006.jpg
この自動絞り関係のリンケージにどうやら問題がありそうです。

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ここの構造を説明しますと、赤矢印のピンがマウント裏側に出ていまして、自動絞りに設定している場合、これが押し込まれることでリンケージが動き、最終的には絞りが絞られます。
逆にピンが押されないと、緑矢印のようにシーソー型のリンケージが動き、それに伴って青矢印のようにレバーが外側に動いていきます。

で、良く見ると、青矢印方向にいっぱいまで動いていないのです。
ですからその前のシーソー型のリンケージも少し寝た状態になっているのです。
もしこのシーソー型のリンケージがもっと立てば、次のレバーももっと外側に動くはずです。
そうすれば絞りもきっと開放になるでしょう。

でもどうやってシーソー型のリンケージをもっと立ててやればいいのでしょうか。
このリンケージはその手前に見える2本のマイナスネジと、

96759172.jpg
マウント側からの赤矢印のネジの合計3本で留まっています。
ちなみに緑矢印の方は、絞りリングの押さえリングを留めているネジです。
これを外せば絞りリングが外れます。

で、良く見ると、赤矢印のネジの締結後の突き出し量が、必要以上に出ているようなんですよ。
それを見て思ったんです。
もしかしてここにスペーサーか何か入っていたんじゃないのかと。

リンケージ部分を別の角度から見てみましょう。
df6dcfaf.jpg
先程と同様、赤矢印のピンがマウント側に出た状態だと、緑矢印の方向にシーソー型のリンケージが動きます。それに伴って青矢印の方向にレバーが回転します。
で、この時に黄矢印の部分を見てください。
マウント側からのネジを留めていない状態だとこのように隙間が開いています。
もしかするとこれが正しい位置なのかもしれません。

ちょっとこのあたりの段差を計測してみましょう。
マウント側の段差を測ると、約0.9mmでした。
それに対してリンケージのブラケットの方の段差は、1.7mmでした。
実に0.8mmもの差があるのです。
これは明らかに意図した設計ですね。

じゃぁやっぱりスペーサーか?と思ったんですが、そんな部品はレンズの中にも転がっていませんし、落とした感じもありません。
では適当なものでスペーサーにしてみましょう。

DSCF0036.jpg
ジャンクの中からワッシャー状の部品を探してきて落ちても面白くないので接着剤で軽く付けておきました。
そうなんですよ。
スペーサー入れるにしてもブラケットに固定できるようなものじゃないと入れ難いんですよね。
だからどうもスペーサーと言うのもちょっと腑に落ちない気もするんです。

でもまぁとりあえずこれでうまくいくかどうかやってみましょう。

あ、ここで、絞りリングの組みつけの様子をご参考までに。
DSCF0013.jpg
左のリングが絞りリング。その右が絞りリング押さえ。
右上に見えている円弧状のものが自動絞り設定レバー。
気をつけるべき部分はクリック用のベアリングぐらいでしょうか。

78a3810c.jpg
絞りリングのこの位置の一つクリック用のベアリングが入ります。
ベアリングを落とさないようにこの上から押さえのリングを載せます。

DSCF0018.jpg
押さえリングのサイドにもひとつクリック用のベアリングが有ります。
これは自動絞り設定レバー用です。
この上にかぶせるように、設定レバーをはめます。
そしたらその状態を維持してマウント部に取り付けます。
でもここでの締結箇所は2番目の写真にあった緑矢印の1箇所だけです。

で、マウント部分をレンズ鏡胴に取り付けて、ではでは自動絞りの切り替えをオートにしてみましょう。
すると、OK。
ちゃんと開放になりました。

6ab68bfa.jpg
オートにしてマウント部のピンを押せば、ちゃんと設定した絞りまで絞られます。
やっぱり先程のリンケージ部分の問題でしたね。
ではカメラに取り付けてもちゃんと動くか確認してみましょう。

81612ade.jpg
デッドストックのST901に装着して、シャッターを切ってみますと、
グーです。
ちゃんと動いています。
これで一応修理はOKですね。

でも、スペーサーを入れると言うのがどうも引っ掛かります。
それでずっと考えていたんですが、あれって元々スペーサー無しなんじゃないかと思えてきたんです。
と言うのもこのレンズ、絞りの開放位置の調整が出来たり、絞りリングとの連携位置が調整できたりで、普通はないような調整箇所が色々有るんです。
であれば、このリンケージ部分も調整できるような構造になっていると考えてもおかしくない。
もしそうなら、スペーサーは無くて、2番目の写真に有る赤矢印のネジの締め加減で調整すると言うことですね。
だからブラケットに隙間があった。

そうかもね。
ご存知の方情報お願いします。

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◎ ネジの締め加減

絞りが渋くなって掃除している折に,こちらに辿り着きました.

件のネジの事が気になったので,自分のフレクトゴンで確認してみたところ,ネジは固定されておらずフローティングの状態で調整可能でした.

オート使わないのであまり気にしてなかったのですが,オート時とマニュアル時で羽根の開き具合に差がある点は気がかりだったので,ネジを動かして調整したところバッチリ開き具合が一致しました.

プラパーツがあるとはいえ,改めてこのレンズのメンテナンス性の良さに関心しきりです.

PulsarP38 2013/03/20(Wednesday)10:19:29 Edit
◎ Re:ネジの締め加減

PulsarP38さん、コメント有難うございます。
やっぱそうですよね。
ここも調整できるようになってるんですよね。
このレンズって、色々微調整できるところがあっていいなと思います。
永く使ってもらうことも考えていたんでしょうかね。
それとも微調整つけとかないと精度が出ないほどの加工技術だったとか…

【2013/03/2212:49】
◎ 亀レス失礼いたします

忙しくなり返信見逃しておりました。

精度に関しては加工技術の問題もあったんでしょうね。
いずれにしても機構が付いていることで、知識や技術の有る人にとっては
調整が容易であり、当時のメーカー側での修理コストが下がるだけでなく、
コアユーザーにとってフレンドリーな構造である事に変わりはないでしょう。

一方で現代においては、精密さは増して歩留まりが悪化(個体差が多いですよね)
し、修理コストも上がってる様な気がしますが、フレクトゴンの世代の製品では
考えられない性能を持っている事も事実ですね。

双方に一長一短があるのは当然ですが、、、ことフレクトゴンに関しては、
発色や今回話題に上った調整のしやすさなど、長く愛される理由の有る製品
だと感じます。

そして、これはいつの時代でもそうですが、長く愛される製品、、、つまり
俗に言う名品と呼ばれるものは、そう多くはなく一握りなのだと思います。
その一握りを所有出来る喜び、調整出来る喜びは何者にも代え難いです。

いやはや長々と失礼しました。
大好きなレンズなのでついつい;-p
それでは当時の工房、技術者達を忍びつつ、ごめんください。

PulsarP38 2013/05/22(Wednesday)10:26:43 Edit
◎ Re:亀レス失礼いたします

PulsarP38さん、コメント有難うございます。
返信がいつになっても、見ていてくれるだけで嬉しく思います。
わたしも、このレンズがとっても好きです。
最短撮影距離は短いし、ボケ味もなかなか、デジイチにつけてもその性能をよく発揮してくれて、これ一本あればいろんな撮影が楽しめて良いレンズですね。
しかし、LUMIX 20mmを買ってから、フレクトゴンとほぼ同じ使い方ができるようになった上に、LUMIX GF3につけて使っていますのでとってもコンパクトで、フレクトゴンの出番がめっきり減ってしまっています。
でもやっぱりマニュアルフォーカスは面白いんですけどね。

【2013/05/2516:51】
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