明日は明日の風が吹く

先月末に、イハゲー・エキザクタ Varex IIaをご紹介いたしましたが、今回はその修理の様子をお伝えいたしましょう。
今回の不調は、カウンターが途中で動かなくなるというもの。
この不具合は、自動復元式のカウンターであれば、裏蓋の閉まりが悪い時などによく起こります。
ですがこのカメラのカウンターは自動復元式ではありません。
ということはカウントを進める機構の何処かのギアの山がすり減ってきたとか、またはその機構そのものの動きが悪くなってきたか。
などなど考えられますね。
ではとりあえずバラしてみましょう。

このカメラのカウンター及び巻き上げ機構はカメラの左側にあります。

[5回]

まずは巻き上げ部のカバーになっているネジを外して、その下のカニ目ネジを外しましょう。


そうすれば赤矢印の巻き上げレバーが外れます。
巻き上げレバーを外すと、軸がスプリングのテンションで戻ってしまいますが慌てずに。
組む時に途中まで巻き上げてやれば任意の位置で止まりますので、その状態でレバーの位置を合わせればいいのです。

そして黄矢印のシャッタースピードダイヤルの真ん中のネジを外しましょう。


ネジを外すと、その下にはスプリングが入っています。
これでシャッタースピードダイヤルを外すことができます。


赤矢印が外したシャッタースピードダイヤルを裏返した状態。
裏にピンが出ていますので、組む時はシャッタースピードが合うように気をつけます。

そして黄矢印の2本のマイナスネジを外せば、巻き上げ部のカバーが外れます。


これでカウンターのダイヤルが見えて来ました。

このダイヤルは乗っかっているだけですので、簡単に外れます。

赤矢印は外したダイヤル。
そして黄矢印と青矢印の爪で、カウンターダイヤルを動かします。
青矢印の方は、逆回り防止爪。
黄矢印の方が、カウンターを送る爪です。
と、なれば、黄矢印の爪のかかりが悪いために進まないと予想出来ますね。

爪の動きがカウンターダイヤルの周期に合わせておかしくなるとは考えにくいので、おそらくカウンターダイヤルのギアの方がすり減って、いるんでしょうね。
では先ほど外したカウンターダイヤルを裏返して、キアを確認してみましょう。


矢印の部分が、カウンタ送りに使われているギアの部分です。
が、見たところ、どこも同じような感じで、どこかが部分的にすり減っているという感じはないですね。
これはどうしたわけでしょうね。

ではちょっと動きを確認してみましょうか。
ところが、

巻き上げた途端に、カウンター用のゼンマイバネが飛び出して来ました。
ビックリです。
これ組めるんでしょうかね。
でもそのおかげで爪の状態がわかりやすくなりました。


何回か巻きあげてシャッターを切ってみたんですが、黄矢印の爪の動きは安定している感じがしますね。

では先程飛び出してきたゼンマイバネも巻き直して、カバーを掛けずに巻き上げレバーまで組んでみましょう。

その状態で巻き上げて、カウンターの動きを見てみます。

この黄矢印が、カウンターダイヤル送り用の爪。
このカメラのカウンターの構造は独特で、巻きあげてもカウンターは動かず、シャッターを切ると、ピョコッとひとマス進む構造です。
ですので送り用の爪の動きは一瞬です。

爪の動きは安定しているようではあるものの、やはりカウンターが1を過ぎたあたりで進まないことがあります。

じゃぁ、もしかしたら、青矢印の逆回り防止用の爪のかかりが悪いとか？

青矢印が逆回り防止爪ですが、見ている限りではよくわかりませんね。

ドライバーで引っ張ってみると、なんとなく押し返す力が弱いような気もします。
ではスプリングをちょっと強くなるように曲げてみましょうか。


逆回り防止爪を外した状態がこちら。
矢印のスプリングを、もうちょっと強くなるように曲げてみます。

これで組み直して動きを見てみましょう。

すると、
おお、
ちゃんと止まらずに動き始めましたよ。
カウンターを何周かさせても大丈夫のようです。
なるほど、逆回り防止が弱かったために、送り側の爪が戻る時にダイヤルも一緒に戻ってしまうことが有ったというわけですね。

よし、
これで解決。
と言う事で修理完了です。