明日は明日の風が吹く

キヤノンSマウント35mm,F2の修理です。
オーナーからの話のとおり、絞り連動ピンが破損していますね。
問題は、ネジ穴に残っている折れたネジが外せるかということと、連動ピンの代替品を用意できるのかということになりますでしょうか。

ま、とりあえず直せそうなところから直していみましょう。

[1回]

まずは絞り連動ピンにつながるリンケージ。
力が加わって曲がってしまっていますので、もとのように曲げ直します。
そしたら続いて他の部品も外して、絞り連動ピンが締結されている部品を外しにかかります。

絞りリングのクリック部を外して、絞りリングも外します。
そして取り付けられているフィルターも外すのですが、これが固く締まっています。
手では外せないので色々工具を駆使して、何とか外すことができました。
赤矢印が外したフィルター。
そしてフィルターが外れましたので、黄矢印のレンズ前群を外していきます。


レンズ前群が外れるとこういう状態。
赤矢印のスナップリングを外せば、

絞り羽根を押さえている部品が外せます。
で、矢印部分。
絞り連動ピンのネジ部の先端が、内側に出ていますね。
これならもしかしたら外せるかもしれませんね。


外側から見るとこんな感じ。
ネジ部はせん断してしまって、こちらから外すのは難しそうです。

では内側から外す努力をしてみましょう。
ですが細いペンチでもつまめるほどは突き出していません。
じゃぁ、出てきている先端に、細いヤスリで筋を入れましょうか。
ある程度深く筋が入ったら、マイナスドライバーで回してみましょう。

と、なんとかちょっとずつ回りますよ。


そしたらなんとか外れました。
赤矢印が外した連動ピン雄ねじ部。
黄矢印が連動ピン本体です。

ではこのネジに合うネジを探して、連動ピンに代用できるか試してみましょう。


ネジ山の合うものが何本か見つかりましたが、
このネジが一番よさそうですね。
ネジ部が途中で終わっていますので、締め込んでいけば締結できそうです。

せっかくここまでバラしましたので、絞り羽根も洗浄しましょう。

そしたらとりあえず、仮組みしてみます。

見た感じ形になったようですが、この状態でヘリコイドと合体させると、どうやら干渉するようですね。
絞りリングの動きが部分的に硬くなってしまいます。

そう思ってネジを外して組んでみても、やっぱりちょっと干渉しています。
そうか、このリンケージの部品は、もしかしたら直角でなく、少し内側に曲がっているのが正常なのかもしれません。
ということで曲げてみると、
はい、干渉しなくなりました。

この状態で先ほどのネジを組んで、またヘリコイドと合体させると、
あら、また干渉します。
やっぱネジの頭が大きすぎますか。

ではでは、このネジの頭を、軸と同じ太さになるように削りましょう。

赤矢印の所が、頭を削った部分。
しかしこれで組んだら、今度はネジ部が奥に突き出しすぎてそっちが干渉するようです。
ですのでネジ部を黄矢印のあたりで切断しましょう。


黄矢印のように、ネジ部を切断しました。
そしてリンケージの溝よりも、このネジは細いですので、ガタが出ないように赤矢印のようにアルミテープを巻いて太さを調整します。


そして組んだ状態がこちら。
うん、これでちゃんと絞りリングに絞りが連動するようになりました。
OK。

ではあとは、ヘリコイドのオーバーホールに移りましょう。