明日は明日の風が吹く

うちに転がっているカメラは数々ありますが、レストアするにしてもやっぱり面白そうなカメラを優先的にやってしまいます。
そういう意味では今回ご紹介するカメラは、個人的には順位の低い方です。
何で順位が低いかと言うと、多分｢全自動｣を目的にしたお気楽カメラであるからだろうと思います。
全自動だと、撮影する時に楽な反面、面白みがないんですよね。
でもね、このカメラ、全自動で誰でも使えるカメラにするために、かなり手の込んだことをしているらしい。
なのでちょっと直してみましょうかと言う気になったのでした。

その名は、フジカ35 オートM。

[9回]

うちの子のお気に入りカメラの一つ、フジカ35-SEの姉妹機と言いますか、初期のフジカのレンジファインダーシリーズ、フジカ35シリーズの一機種であります。

シリーズの例に漏れず、

巻き上げレバーは底部にあり、


巻き戻しノブは左側面にあります。

しかし、ピント調整は背面ではなく、

レンズ鏡胴にあり、前玉回転式です。

同じく鏡胴に絞りリングとシャッタースピードリングがあります。
設定範囲は絞りが、オートと、2.8から16まで。
シャッタースピードが、Bと、1/500秒から1/30秒までとなっています。

巻上げも巻き戻しもなくなった軍艦部上面には、

ASA感度設定ダイヤルと、シャッターボタン、それにアクセサリーシューがあるだけです。
ちなみに感度設定範囲は「5」から「200」まで、下は「32」位までで留めていいから、上は「400」までは欲しいところ。


レンズはフジノン-Rレンズ、ｆ＝4.7ｃｍ、1:2.8。
35-SEと比べると廉価なレンズになっています。


このカメラの最大の特徴は露出制御機構にあります。
露出計はセレンによる一般的なものですが、このカメラ、シャッター優先EEと、プログラムAEの複合的な仕掛けになっています。
絞りを「AUTO」に設定しておけば、通常は好みのシャッタースピードを選んで自動的に絞り値を決定してくれるシャッター優先EEなんです。
が、そのEEの範囲を超える場合、例えばシャッタースピードを1/60秒に設定していても、撮影環境が暗くて絞り開放の2.8でもアンダーになる場合は、自動的にシャッタースピードが遅くなると言うわけです。
この部分がプログラムAE。
そしてカメラでの設定範囲を超えてアンダーの場合は、シャッターボタンがロックされます。

フジフィルムのサイトによると、露出計を使った初期の絞り優先やシャッター優先の自動露出のことを、EEと言いますが、これはElectric-Eyeの略なんだそうです。
そして今回のカメラ、オートMのような自動プログラム制御のものを、Automatic Exposureの頭文字をとってAEと言うのだそうです。
EEはシャレてるけど、AEはそのまんまですね。


ところで、今回のフジカ35 オートMの不具合箇所はと言うと、
連動距離計がちゃんと動いていない位でしょうか。
オート及びプログラムは、露出計も含めてちゃんと動いているようです。
あとは全体的にきちゃないことぐらいかな?
ちなみにこのカメラは、巻き上げてないと絞りもシャッターもちゃんと調整できないので、動かないと思った時はジャンクと早合点せずに、巻き上げてみることをお勧めします。


言うまでもなく、モルトは朽ちていますが。
後は開けてみてからのお楽しみです。

ではバラしましょう。