明日は明日の風が吹く

私の好きなカメラは、ファインダー内でほとんど全ての情報が分かるカメラです。
例えばピントは、一眼レフなら必ず分かりますが、レンジファインダーでも、距離計が連動しているものであれば、ファインダー内で確認できます。
そのほかには、露出計の指針がファインダー内で確認できて、適正露出かどうかが分かること。
そして、絞りとシャッタースピードの設定値もファインダー内で確認できること。
と言った感じです。
それからついでに電池を使わないこと。
もう一つオマケに、できるだけコンパクトなこと。

その条件に当てはまるカメラって、有りそうでなかなか無いんですよ。
で、これなんかどうでしょうか。

結構面白そうです。

[8回]

と言いますか、前々からいいなと思って、出物が無いかと狙っていたんです。
このカメラは何かというと、フォクトレンダー(Voigtlander)のヴィトマチックIIb(Vitomatic IIb)です。

このシリーズはコンパクトだと言う話は聞いていたんですが、実際に手に取ったことがありませんでしたので、どのくらいの大きさなのかなと思っていたんです。
で、手にとってみると、わりとコンパクトです。
もちろんローライ35やミノックスほど小さくは有りませんが、こっちは連動距離計まで付いた等倍ファインダーを搭載しています。
フジカコンパクトと比べると、寸法的にはわずかに横幅が小さい位ですが、よりコンパクトに感じます。
サイドが丸くなっているからでしょうか。
コンパクトに見える理由は他にもありそうです。
例えばレンズが大きいこととか、ファインダーが大きいこととか。
使われている部品が大きいので、相対的にカメラ全体が小さく見えているような気もします。
でも持った感じもコンパクトな感じがしますので、実際にコンパクトなのかもしれません。

このヴィトマチックシリーズでは、このIIbの一つ前の型でIIaと言うのがあったんですが、そちらの方がスタイリングは好きなんです。
でも、IIbでは、シャッタースピードと絞りの数値がファインダーで確認できるんです。
なので、このIIbにしてみました。

では各部を見てみます。

レンズはカラースコパー50mm、2.8。
同じシリーズのIIIbにはウルトロンの50mm、2.0が付いていますが、なぜかとっても高いので、リーズナブルなカラースコパーの方が遊ぶにはいいと思います。


シャッタースピードは1/500から1秒までとバルブがつきます。
ピント調整は、前玉回転式です。
シャッターは後玉の後ろにあります。


こちらは巻上げ部です。
レバーは軍艦部カバーの下側から生えてます。
それと、通常なら巻き上げレバーが有る部分にある、白い丸いのは、

露出計の明り取り窓です。
この個体では残念ながらヒビが入っています。
それと真ん中の小さい化粧パネルがなくなって、黄色い接着剤だけ残っています。

軍艦部の反対側は、

巻き戻しレバーと、シンクロコードの差込口があります。
その下のギザギザは、スライドさせると巻き戻しレバーのノブがぴょこんと持ち上がり、巻き上げのスプールがフリーになります。

では底の方を見てみましょう。

向かって一番右にあるシルバーのレバーを起こして、ひねってやると、裏蓋と底のヒンジから右が開きます。
真ん中に見える扇形の窓はカウンターです。自動復元になっています。


開くとこうなります。
まだ使ってないので、使い易いのか、いたしいのかよく分かりません。


ファインダー内では、連動距離計の二重像はもちろんですが、下側に露出計の指針。
右下にシャッタースピードと絞りが確認できるようになっています。

と言った感じのヴィトマチックIIbですが、何も手を入れなくても完調と言うわけにもいきません。
不具合箇所はと言うと、
まず、メーターが動いていません。
そして、シャッターのスローが粘っています。
後は特には無さそうですが、ファインダーが薄汚れているのはいつものこと。
それから、ちょっとヘリコイドが硬いです。

ではいよいよレストアに入りましょう。