明日は明日の風が吹く

では昨日の続きです。、バラさなくてもいいのにバラしてしまったキャノン デミSのヘリコイド部分について。

これは、レンズユニットの裏の黒いプレートを外した状態です。
緑矢印の位置決めの溝のところにヘリコイドが見えていますね。
このヘリコイドの部分と、赤矢印の部分は、一体ではありません。
それぞれ別の部品です。

[1回]

赤矢印の部品は何かというと、レンズユニットの露出設定の情報をカメラ側に伝えるリンケージや、巻上げ動作からシャッターセットを行うリンケージなどが組み込まれた、リンケージセットです。
この赤矢印の部品とヘリコイドの内側の黒い部品とは、外してある黒いプレートで位置関係が固定されていて、お互いに回転しません。
そしてその部品の間にヘリコイドがあって、回っています。

で、ヘリコイドと赤矢印の部品とは、ネジ部で位置関係を維持しています。
ですので、ヘリコイド自身も、回転するとそのネジ部によって、少し移動するのです。
と言うことは、ピント調整をするときには、ここの位置も関係してくると言うことになります。

そしてここには別にもう一つ、困った内容があるんです。レンズからの露出設定情報や、シャッターセットのリンケージが、ピントリングの間を通っているのですが、その所々に足があるために、ピントリングの回転が限定されていて、ほぼピンポイントでしかピントリングの位置が合わせられないということです。

言葉ばかりで説明すると分かりにくいですね。

写真を見せるとこんな感じです。
ピントリングに隙間があって、そこを赤矢印のようなリンケージが通っているのですが、所々に緑矢印のような足があります。
ですのでピントリングの回転しろはこの範囲内に限定されてしまうと言うことです。
しかも、ご覧の状態が最短撮影距離時にシャッターセットが行われた状態。


そしてこちらが、無限遠時にシャッターが切れた後リンケージが戻った状態です。

この二つの写真を見てわかるとおり、ピントリングには全くと言っていいほど余裕が無く、ヘリコイドの無限円の調整をすると、シャッターセット用のリンケージに先程の「足」があたってしまうという状況なのです。

これをクリアする手段が最初の写真の赤矢印の部品。
この部品は180度ごとに取り付け穴が合うようになっていますので、これで調整するしかないわけです。
こちらのネジ部のピッチはヘリコイドのように荒くありませんので、180度回しても大きく動くことが無いわけです。

今回の場合、最初の写真の赤矢印の部品をいっぱい締めこんだ状態から、90度ほど戻したところで固定していましたら、シャッターセットした後に最短撮影距離にピントリングを回すと、シャッターが勝手に切れてしまうと言う状態になりました。
ですのでもう180度緩めて、270度前後戻したあたりでちょうどピントリングがうまく動くようになりました。

こんな面倒な事はしたくないという方は、決してレンズ後端の黒いプレートを外してはいけません。

と言うことで、ヘリコイドの話はこの辺で終わって、また別の不具合の話です。
どんな内容かというと、レンズを組み上げた当初は、巻上げをしてもシャッターセットが行われない状態だったんです。


原因のひとつは、このようにシャッターセット用のリンケージがねじれていたことですが、これを真っ直ぐ直しても、なおシャッターセットがうまく出来ませんでした。


シャッターセットが行われるには、巻上げによって変形Y字の部品が矢印の方向に押されます。
そしてEリングでつながったリンケージを押し、

押されたリンケージが同じく矢印の方向に移動して、シャッターセットレバーをセットします。
しかしこの一連の写真を見て頂いてお分かりのように、どこにも調整しろがありません。

仕方が無いので先程のリンケージを余計に曲げて対応しました。
こんな方法でいいのか?

それからそれから、組み直していっていると、他にも不具合が出てきました。
ですが今回は分かり難い内容も多いと思いますので、この辺で次回に続けたいと思います。

ではまた。