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尾道発 - カメラ屋の独り言 -  Presented by せいのカメラ店



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23日にレンズも修理が終わって、これでレストア完了かと思った「プラクチカ ノバIB」(Praktica Nova IB)ですが、どうも自動絞りの動きが納得いきません。
と言うのも、シャッターボタンを押している間しか自動絞りが働いてくれないんです。
DSCF5888.jpg
どう言う事かというと。
シャッターの動きとは関係なく、シャッターボタンの動きのみと連動しているんです。
まずシャッターボタンを押し込んでいくと、絞りがどんどん絞り込まれていって、設定した絞り値まで絞り込まれます。
それでミラーが上がって、シャッターが開いて、露光が終了してシャッターが閉じ、ミラーが降りてきます。
通常その間シャッターは押されたままですので、絞りは絞られたままで、シャッターボタンを放すと絞りは開放に戻ります。
一見問題ないように見えますが、

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拍手[3回]

これがスローシャッターではどうでしょうか。
例えばこのカメラの最長シャッタースピードの1秒の時。
露光中ずっとシャッターボタンが押されっぱなしであれば問題ないのですが、途中でシャッターボタンを放してしまうと、露光中であるにもかかわらず、絞りが開放になってしまうんです。
これではカメラとしてダメですよね。

バルブの時はどうかというと、シャッターが開いた後、シャッターボタンを放すまで露光を続けますよね。
そしてシャッターボタンを放して初めてシャッターが閉じるわけですが、
この時も、シャッターボタンに掛かる力を緩めていくにつれて、絞りはどんどん開いていくわけです。
なんだこれは。
これが仕様なのか?

そんなことをしてしまうカメラが当たり前に売られていたのか?
これが本当に仕様なのかそれともこの個体のどこかが故障しているのか。
もう一回バラして構造をよく見てみることにしました。

DSCF5952.jpg
ここがシャッター関係のリンケージです。
フィルム室の右側、シャッターボタンの裏です。
シャッターボタンを押すと、赤矢印のようにレバーが押されます。
すると緑矢印のようにリンケージが動きます。
すると青矢印の方向に、自動絞りの機構が動くようになっています。

緑矢印の部分の裏側にシャッターにつながるリンケージがあるものの、いくら見てもシャッターが開いている間、絞った状態を維持するような、つまりはリンケージの動きを止めるような機構は無さそうです。
どこかが外れたり折れたりしているわけでもなさそうですし…
やっぱり仕様なのか。
でも、このカメラは結構な生産台数のはずですが、使っていた人はこの状態で文句は出なかったのでしょうか?
もしこの機種の詳しい情報をご存知の方がおられましたら、自動絞り関係の状況を教えて欲しいです。

とは言え、うちにある個体は現状として面白くない状態です。
ですので改造してみましょう。
すいませんが今回は分解方法は割愛させていただきます。

DSCF6005.jpg
まずは赤矢印のところに1mmの穴を空けます。
ここはどこかと言うと、底蓋を外して見えてくるシャッターのガバナーを外した奥です。
そして緑矢印の棒が突き出せるようにします。

緑矢印の部品は今回作ったものです。
ゼムクリップを曲げなおして使っています。
下側はこのようにコの字型にして、反対側はミラーのリンケージに引っ掛かるようにリング状にしています。
で、内面反射を抑えるためにつや消し黒で塗っています。

DSCF6006.jpg
穴に差し込んだ状態がこちら。
反対側はというと、
DSCF5957.jpg
こんな感じです。
緑矢印のように、1mmの穴から飛び出した端部は、自動絞りが働いた時にちょうど引っかかるようにしてあります。
そういう位置に端部が突き出すように、位置を見計らって1mmの穴を空けます。
端部が飛び出す長さも、一番飛び出した状態でもその上の部品に引っ掛からないような長さにします。

で、この棒の反対側は、赤矢印のように上に上がっていって、ミラーのリンケージにつなぎます。
DSCF5958.jpg
端部を長丸状にして、赤矢印のようにミラーのリンケージに引っ掛けます。
この写真ではミラーが上がった状態です。

DSCF5959.jpg
マウント側から見るとこんな感じ。
ミラーが上がった時に、新設の棒が一杯上に上がった状態になるように長さを調整します。

DSCF5960.jpg
こちらはミラーが下がった状態。
写真で分かるように、棒の引っ掛け部(長丸部)の上側には余裕が出来、下側の引っ掛かりにミラーのリンケージが引っ掛かって押し下げられ、ちょうど自動絞り制御用の部品への引っ掛かりが外れるように、長丸の大きさを調整します。

これで一応はミラーが上がっている間は、シャッターボタンを放しても絞り込んだ状態が維持され、ミラーが降りればロックが外れて絞込みが解除されるようになっているはずです。
DSCF6002.jpg

レンズを付けてテストしますと、ちゃんと働いているようです。
せっかくですので何回かシャッターセットとレリーズを繰り返して悦に入りましょう。

工作自体は簡単なのですが、シャッターガバナー関係や巻上げ関係を全部分解しないとこの作業は出来ませんので、ちょっと敷居が高いかもしれません。

では組み直して、撮影に挑んでみましょうか。

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