明日は明日の風が吹く

ミノルタの名機でライツミノルタCLと言うカメラがありました。
このカメラはライカMマウントと互換性があり、ライカのレンズが使えるカメラでした。
ミノルタからも40mmと90mmのレンズが出され、これがよく写るレンズでした。
その後継機として、ミノルタCLEが発売されました。
その時一緒に発売されたのがM-ROKKOR 28mmです。
このレンズも名機と言われていますが、今回はこのレンズの話。

ここに2本のM-ROKKOR 28mmがあります。
ひとつはヘリコイドがガタガタだけど、レンズがキレイ。
もうひとつは鏡胴はしっかりしているけどレンズがアウト。
となると…

[4回]

残念ながらニコイチにするしかないですかね。

なので今回はその方法を解説いたします。

まずは矢印の化粧リングを外します。


すると、レンズ前群が外せますので、矢印のカニ目部分を回して外します。


次にレンズのお尻の方から。
赤矢印のカニ目を緩めて、レンズ後群を外します。
緑矢印のカニ目は外さないでください。


こんな感じで、出来れば専用工具を使った方がいいですが、無い場合は先が細くてしっかり保持できるもので外して下さい。
失敗するとレンズを傷付けてしまうことにもなりますので気をつけて。


後群が外れた状態がこちら。

その奥にまだレンズがあります。
これもカニ目を緩めます。


これでレンズが全部外れました。
レンズ鏡胴には絞りが残っていますが今回の分解はとりあえずここまで。

そしたらもう1本のレンズもレンズを全て外して、外した全てのレンズを入れ替えます。
悪いレンズだけ入れ替えてもいいのですが、どこまで悪いか分からないので今回は全部入れ替えです。
そしてレンズを全部組み替えたら、はい完了です。

と、言いたいところですがそうは行きません。
ピント確認してみますとやっぱりズレています。

ではピント調整をしましょう。
しかしこのレンズのピント調整は簡単ではありません。
まずは4つ前の写真の緑矢印のカニ目のリングネジを外します。
すると鏡胴の前後が、

このように分離できます。
緑矢印が外したリングネジ。
そしてピント調整は、赤矢印のシムの厚みを調整して行います。

幸い今回の場合はピントリングを無限位置にしてもまだ無限遠に届いていない状態でしたので、シムを削ることで調整できます。
もし無限円を通り過ぎてしまっていたら、もっと厚みのあるものに交換するか、足りない厚み分だけシムを追加するかなどしないといけません。

では元の厚みを測ってみましょう。

削る前の厚みは2.13mmでした。
どの位削ればいいかは手探りですので、少し削っては組み直してピント確認と言う作業を繰り返さないといけません。

削るのは今回は600番の耐水ペーパーを平らなところに置いて、シムを指でまんべんなく押さえながら削りました。
もちろんこの作業では厚みにムラが出来てしまいますので、少し削っては部分部分の寸法を確認しながら全体の厚みを整えていくと言う地道な作業になります。

で、ある程度削りまして、

2.00mmに合わせてみました。
これをレンズに組み込んでピント確認しますと、
うーん。まだ無限遠まで来ていませんね。
ではまた地道な作業を続けましょう。

そしてもう0.14mm程度削りました。

合計で0.27mm削ったことになります。
この状態で組みなおしますと、
うん。
ピッタリ無限遠に合いましたね。

ところでもう1本の、鏡胴がダメなレンズのシムを使えばよかったのではと言う意見もあるでしょうが、実はこれがまたひどい状況だったんです。
その話は機会があればまた書きましょう。

ということで、はい、M-ROKKOR 28mmのニコイチ完了です。

でもダメな方のレンズも何とかならないかなぁ。