明日は明日の風が吹く

星は動いているように見えますが、本当は地球の方が動いているわけで、その動いている地球に乗っかっている我々人間も、地球と一緒に動いているにもかかわらず、あたかも星の方が動いているように思ってしまっています。
だからガリレオは裁判にかけられたわけですが…
そんな星の動きを見ている分にはロマンチックでいいのですが、それを写真に撮ろうとするとこの動きが邪魔になってくるわけです。
そこで登場するのが赤道儀。
しかしこの赤道儀、結構お高いわけでして、天体写真入門者にとっては、撮影を諦めさせる要因の一つにもなっていると思います。
ですので安く作れないかと思ってやってみたのが昨日の記事。

今回は、その手作り赤道儀を使った試写の様子をお伝えします。

[1回]

ではまずは、この赤道儀の簡単な使い方を説明しましょう。

1.　裏面の三脚取り付け穴に、三脚を取り付けます。
2.　赤道儀の自由雲台にカメラを取り付けます。
3.　蝶番の軸を、北極星に向けます。（赤矢印）
4.　自由雲台を調整してカメラを写したい方向に向けます。
5.　時計の秒針が針金の指針のあたりに来たら露光を開始します。
6.　露光中は時計の秒針が指針に重なるように時計を手で回し続けます。
7.　露光を終了して終わり。

先日の「10月りゅう座流星群」の撮影では露光時間を30秒にしていました。
30秒の露光で普通に三脚に載せて撮影すると、

こんな感じです。
焦点距離28mmで撮影していますので、画面全体を見るとそんなに悪く無いですね。
では拡大して見てみましょう。

画面上の方がオリオン座の三ツ星。
左下の方のピンクのぼんやりしたのがオリオン大星雲です。
30秒ですので、0.125度動いたということになりますか。

では次に手作り赤道儀を使って撮影するとどうでしょう。

全体的には先ほどと大差なく見えます。
では拡大すると。

これも上にあるのがオリオン座の三ツ星。
真ん中下方の少し赤く滲んだようなのがオリオン大星雲です。
どうでしょうか。
バッチリ止まってますね。

焦点距離を伸ばしていくとどこまで対応できるかわかりませんが、広角での撮影なら使えそうです。
では気を良くして3分間露光してみたのが次の写真。

空が少しかすんでいたせいか、全体的に明るくなってしまいましたが、星は止まって写っているようですね。
では拡大してみましょう。

やはり3分間となると、少しブレてきていますね。
それでも三脚固定の30秒よりはるかに良いです。
矢印のオリオン大星雲も、薄い赤い部分がかなり再現されました。


こちらは左下の木のあたりを少し拡大したものです。
星は止まっていますが、木は動いていますね。
つまり地球がこれだけ動いているということになりますか。

結果から言うと、まぁまぁでしょうか。
ピクセル等倍に拡大してあの程度のブレであれば、実用の範囲内かと思います。
しかし、手で回していることや、蝶番の精度の問題などもあって、時々ブレてしまうこともあります。
特に、時計がついたボルトと、ナットのはめあい公差が大きいようで、ボルトを回転させていると大きくズレることがあります。
そのあたりをもう少し改善できれば、より良いものになりそうですね。

ただ使ってみて思うことは、撮影中ずっと時計を見ていないといけないので、その間空を見ることができないのが残念です。
今回の流星群の撮影のように、空を見ながら撮影したいときにはあまり向いていないかもしれません。
やはりモータードライブ等の自動追尾が欲しくなってきますね。

とりあえず天気がいい日にもうちょっと試写してみましょう。

ところで地球が回っていることを考えていると、ふと思うのが月から見た地球です。
地球から見ると、月は常に同じ側を見せています。つまり地球からは月の裏は見えません。
ということは、月から見ると、地球は常に同じ位置に見えているってことですよね。
自転したり、満ち欠けしたりするのは見えるでしょうが。
もしかして日食の時に月の影が地球に映ったのも見えるんでしょうか。
そんな写真も撮ってみたいですね。