明日は明日の風が吹く

デジタルカメラの新機種というのは、ほとんど毎日のように発表されています。
私としても、そのすべてを把握することは不可能に近い話です。
しかし中には魅力的で目を引く機種も存在しますので、私としても詳しく知りたくなったり欲しくなったりするわけです。
とはいえ、魅力的に感じる部分は人によって千差万別です。
私としてはほとんどノーマークだった商品が、すごく売れたりということもあるわけです。
で、今回はびっくりした内容があるんですよ。

というのがこれ。
「販売終了のお知らせ」？

[1回]

このカメラは、カシオのEX-TR150という機種。

薄型でカシオらしいカメラですね。

このカメラの特徴はといいますと、

こんな感じで、外側のフレームが自在に動いたり、
もちろん液晶部分もカメラに対して回転できるんです。

ですので、フレーム部分を持ってローアングルで撮ったり、自分撮りも簡単にできるというのが売りでしょうか。
私としては取り立てて面白いと感じるものではないのですが…

ところがこのカメラ、発表すると予約が殺到し、なんと発売日を待たずに完売となってしまったんですよ。
そんなことが起こるのか？
しかもこんな機種で？

で、このカメラ、先代のEX-TR100の後継機なんです。
先代とはほとんど変わっていません。
その先代のモデルも、私の予想通り、全くの不人気機種だったんですが、あることをきっかけに爆発的に売れたんですね。
それは何かといいますと、香港在住の人気モデルが、このカメラで自分撮りしてSNSに載せたところ、その写真が綺麗と話題になり、どうやって撮ったのかという話からカシオEX-TR100で撮ったという話が広まり、台湾や中国で大人気になったとか。
詳細はこちらにも書かれています。

話を聞いてこのカメラを買った女の子たちも、自分のスマートフォンのカメラと撮り比べて、こっちのほうがキレイということでその環がどんどん広がったらしいです。

で、今回の後継機ですが、
私が思うに、新たな機能を備えた新機種ということではなく、
そんな爆発的な人気で一気に在庫がなくなったTR100の在庫補填のためだけに出したもののような気がします。
だからほとんど機能は変わっていない。
普通、新機種出すなら、より魅力的になった部分を見せてくるはずですがそんなのはありませんしね。

メーカーとしても多分そんなつもりだったんでしょう。

しかしその新型が、発売日前に完売。
最初そのニュースを見た時、私もそんなバカなと思って、どんなカメラかと調べてみたんですが、
そう大して魅力的と感じるものでもない。
じゃぁ何でと思って調べたら、上記の背景があったというわけです。

ではこのカメラ、本当にそんなに綺麗に写るのか？
そう思ってメーカーのサンプル画像を見てみました。


これはブログ用に縮小していますが、元の画像はこちらを参照下さい。

この画像を拡大してみますと、

ISO100で撮っていて、しかも単焦点レンズであるにもかかわらず、
結構ノイズが出ていてとてもじゃないけど綺麗な写真といえるものではありません。

ちなみに、画素数が同じ私愛用のパナソニックLUMIX GF3 + 20mm F1.7で、ほぼ同じ露出で撮ったもので比べてみますと、

こんな感じで、
これを拡大してみますと、

このようにノイズはありません。

まぁ、確かに撮像素子の大きさやレンズ性能は明らかに違いますが、
TR150と言えども予約価格では45000円ほどもしますよ。

この程度の性能のカメラでも、何かをきっかけに売れてしまうというのは、なんとも不思議。
これだけ情報が氾濫した世の中で、多くの人はどんな情報を見ているのか。

しかし、電話のカメラとデジカメでは、比べるまでもなくデジカメのほうが画質がいいに決まっているんですが、そこに気づいていない人が世の中にはすごくたくさんいるんだなと思いましたし、それ以上に、同じ金額やカタログデーターでも、もっときれいに写るカメラはいくらでもあるのに、それにさえ気づいていないのかと、とっても残念に感じました。

商品価値がうわさに左右されるというのは、今のように情報が氾濫する以前の話だと思っていたんですが、実は今の方がそういう傾向が強いのかもしれませんね。