明日は明日の風が吹く

うちの子は以前からフィルムカメラが好きで、しかも二重像合致式の連動距離計が好きなんですね。
そういうこともあって、フォクトレンダー・ビトマチックIIbを使っています。
このカメラの一番のトピックは、やはりファインダーでしょう。
実はこのカメラのファインダーにはレンズが使われていません。接眼部から対物部まで、いっぱいに大きなプリズムが入っているんです。
ですのでその見え方は素晴らしいといえるものです。
そしてこのファインダーには距離計が組み込まれていて、二重像をファインダーに導く仕組みもプリズムが担っています。

ところで今回のこのカメラ、そのファインダーの不具合です。

[5回]

このカメラはうちの子が使っているカメラそのものでは有りません。
修理依頼品です。
全く同じカメラと思ったんですが、一箇所違うところがありました。

それがこちら。
ピントリングの距離表示がメートルです。
うちの子のはフィート表示になっています。
目測で撮ることは滅多に有りませんが、メートル表示の方がやっぱり分かりやすくていいですね。
これは、仕向け地で違うんでしょうかね。

で、ファインダーの不具合を具体的に言うと、連動距離計の二重像がよく見えないというものです。

しかし、このカメラのファインダーにはミラーは使われておらず、プリズムで反射させています。
ですので二重像が見えにくいといっても、ミラーが劣化しているわけではないはずです。
さて、その原因は何でしょうか。

ではとりあえず分解してみましょう。

このカメラの軍艦部カバーを取り外すのはとっても簡単です。
軍艦部カバーの周囲に有る3本のマイナスネジを外すだけです。
巻き上げレバを外したり、巻き戻しレバーを外したりする必要は有りません。


軍艦部カバーを外したら、まずは露出計を外しましょう。
露出計を外すには、赤矢印の2本のマイナスネジを外します。

と、その前に、黄矢印の部分ですが、この黄色い透明のプレート。
本来露出計の内側に貼り付けてあるはずなんですが、外側に置いてテープで貼ってありますね。
せっかく露出計を外すのでついでに直しましょう。


外してみると、針の動きをファインダーに導くための窓が汚れていました。
これもついでにクリーニングしときましょう。

では露出計はいいとして、本来の目的の距離計の方に戻ります。

ファインダーのプリズムを外すには、まずは、巻き戻しノブを外します。
矢印のマイナスネジを外せば、ノブは取れます。


そしたら続いて、赤矢印の部品と、その下に有る青矢印のスプリングを外します。
黄矢印のレバーに赤矢印の部品が引っかかっている場合も有りますので、レバーを操作して解除してください。


つぎに、シンクロ用のリード線(黄矢印)の半田を外します。


あとは、距離計にかかっているスプリングを外します。


そしたら、矢印の2ヶ所のマイナスネジを外します。

しかし、プリズムはすんなり外れるわけでは有りません。
傷付けないように気をつけながら、知恵の輪を外すようにひねりながら外せる角度を探しましょう。


ということで外れました。
矢印が外れたファインダーのプリズム。
では、どうして二重像がよく見えないのか見てみましょう。


すると、矢印のレンズがしっかり汚れてますね。
これはピントリングの動きに連動して二重像を動かすためのレンズ。
このファインダーで、唯一レンズが使われている部分ですね。

しかし、このままではクリーニングをしにくいので、レンズを外しましょう。

黄矢印の軸受けのネジを外せば、レンズを外すことができます。
軸受けのネジは赤矢印の所にはめてありました。
これでレンズのクリーニングができます。

クリーニングが終わったら、逆の手段で組んでいきます。
ということで、二重像はよく見えるようになりました。

後はピント調整をして、軍艦部カバーを取り付けて、
はい、修理完了です。