明日は明日の風が吹く

12日の記事で、FUJICA ST-Fを買った話をしました。その後の試写で分かった事を含め、光線漏れ、プリズムのメッキのはげ、マットのゴミ、という不具合があったんですが、なかなか修理する機会が無くて、そのままにしていました。
でもやっと手を付ける事ができました。
今回の修理は、プリズムのメッキはげと、マットのごみの掃除です。
ではまずはプリズムの修理から。

これが取り出したプリズムです。
今頃の一眼レフではこんなしっかりしたガラスのプリズムは使われてませんね。

[2回]

ちょっと分かりにくいですが、上の写真のプリズムの黒い塗装がしてある部分に注目して下さい。
ここの、真ん中より少し下の辺りが、横一線に塗装がふやけたようになっているのが分かりますでしょうか。
この部分にモルトが当たる構造になっていて、モルトが変質したために、塗装も悪くなって、ついでにプリズムのメッキが侵されて、その部分が鏡じゃなくなっているんです。
だから１２日の記事中に出てくる写真のような

こんな状態になっていたんです。
この悪くなった塗装は、触ってみるとホニャホニャになっていて、こするとすぐに取れます。
ですのでレンズクリーナーとかでしっかり落としてやりましょう。
そしたらここから補修です。

プリズムの修理については、ネット上に色々修理の記事があったんですが、その中で一番いいかもと思ったのが、「銀鏡反応」による再メッキです。
ですけど薬品を用意するのも面倒なので、他の方法でよく使われている、鏡状のものを貼るという方法をやってみる事にしました。
その中でよく使われているのはアルミホイルを使う方法。でも、実際にはアルミホイルもそんなに鏡のようでもないので、もっとピカピカなものは無いかと、ホームセンターをグルグルしてみる事にしました。
アルミテープもそんなにピカピカでもいないし、メッキ調スプレーもツヤツヤにはならない。
いっそのこと鏡を貼ればいんじゃないかと思っていたんですが、いいものがありました。

なんか飾り用のピカピカのテープです。幅も5mm程度で、修復部分に貼るのにぴったりです。
あ、もちろん使うのはシルバーのテープです。
で、早速このテープを貼ってファインダーをのぞくと、

なかなか良いんじゃないですか。
真ん中より少し下の辺りが少々曇った感じになっていますが、これなら十分使えます。
これでもやっぱりいやになってきたら、その時に銀鏡反応かアルミ蒸着を考えましょう。

で、プリズムをはずした状態が、
これです。マットの向こうに朽ちたモルトが分かると思います。
このモルトは、どうやらマットの下までつながっていて、この朽ちた破片がそこらじゅうに飛び散って、マットのごみとして見えていたわけです。
なのでレンズもはずさないと、マットの下へのアクセスもできませんし、朽ちたモルトを全部取り除く事も難しいわけです。

でも外してしまえば、後は掃除するだけ。
以上で無事掃除も終わりです。
ストロボのコンデンサーはレンズの下なんですね。

それにしても中身を見る限り簡単な構造をしています。
バラしたついでに他のところも紹介しましょう。

これはプリズムの左側。
ちょっとだけ電子回路があります。
一番背が高くてネジを切ってあるメッキの部品は巻き戻しノブにつながります。その左の真鍮の部品は裏蓋ロック解除のリンケージです。


そしてこれがプリズムの右側です。
何も無いと言ってもいい位です。巻き上げダイヤルと、カウンター、カウンターダイヤルの左奥に見えるのがシャッターレリーズです。


底蓋を開けてもこんな程度です。
巻上げとシャッターセットのリンケージ、ストロボや露出計の配線でしょうか。

今のデジカメではできない簡素さですね。
すばらしい。
もしかしたら、このカメラの値段のほとんどはプリズムなのかもしれません。