明日は明日の風が吹く

今回はボルボと同じくスウェーデンの名作、ハッセルブラッドの修理依頼です。
ハッセルと言うと高級カメラで修理となると身構えてしまいそうですが、実際にはものすごく構造が単純で修理しやすいカメラなんです。
今回の修理は名機、500C/Mです。
名機はメンテナンス性がいいという私の持論は、ここでも言えると思います。
不具合内容はというと、全く動きません。
巻上げも動かなければ、シャッターも切れません。
もちろんレンズも外れません。
ではちょっと本当の原因を突き止めるところからいきますか。

巻上げノブを外しても当然ですが、何も変わりません。

[50回]

でもフィルムバックはかろうじて外れました。
で、遮光板のところを見てみると、なんかちゃんと閉まっていませんね。

この写真はレンズ側から見たものですが、矢印のように下側の遮光板がちゃんと閉まっていません。
レンズを外すにはシャッターセットが出来ればいいので、フィルムバック側から遮光板を軽く押して開けて、ボディー下部にあるシャッターセット用の、マイナスネジのようにになっているのを回してやればいいわけです。

で、このちょっと開いた遮光板をレンズ側から押して完全に閉めてやると、巻上げが出来るようになって、シャッターが切れました。

でもまた遮光板は完全には閉まらず、また巻上げが出来なくなります。
と言うより、遮光板は上側もちゃんと閉まりませんね。


どうやら矢印のようにマイナスネジの頭に引っ掛かっているようです。
で、これを軽く押してやると、上側の遮光板は閉まるのですが、やっぱり下側の遮光板は完全には閉まりません。
閉まっていない下側の遮光板をまた押してやって完全に閉まると、やっと巻上げができるようになるということの繰り返しです。

で、この状態の原因を探るために何回もシャッターを切ってみましょう。
シャッターを切ってシャッターボタンを放す前というのは、ミラーも上がって遮光板も開いて、ボディー側はただの筒状態になっているんです。
が、この時上側の遮光板が完全に上がりきっていないことが分かりました。

こんな感じで。
ちゃんと上がらないと撮影した時蹴られてしまいますよね。
このちゃんと開いていない上側の遮光板を押すと、上まで上がりはするんですが、スプリングが効いているようで、放すとまたこの位置まで降りてきます。

さてこれはどうしたことでしょうか。
見ているだけでは解決しそうにありませんので、バラしますか。

ハッセルのボディーをバラスのはとても簡単です。
まずは巻上げ部の部品を

一通り外して、

続いて

矢印の4本のマイナスネジを外して、このプレートを取ります。

そしたら、

赤矢印の4本のマイナスネジを外して三脚ネジ部を外し、
続いて緑矢印のマイナスネジ4本を外します。

そしたら、ケースを持って、マウント部を押し込んでやれば、

このとおり、ケースと中身が分かれます。

この時色々落ちてくる部品がありますので注意して下さい。

ひとつはレンズのロック解除ボタン。
そして、

赤矢印のネジ部のスペーサー。
このスペーサーは緑矢印の位置にはまります。

それと今度ケースに中身を入れるときに注意しておきたいのは、

この矢印部。
これはミラーアップのリンケージなのですが、ケース内側にもリンケージがあって、そこに引っ掛かるようにしないといけません。
ちょっとそこに注意しなければ外れてしまうことがあります。

では遮光板の動きのおかしさの、原因究明に掛かります。
しかしここでちょうど時間となりました。

続きは次回へ。