明日は明日の風が吹く

キヤノンSマウント(ライカLマウント互換)の35mmレンズと言うと、うちにはF2.8のものと、F1.8のものがあります。
どちらも良く写るレンズですね。
今年の1月2日の記事でF2.8の、そして2月19日の記事でF1.8での撮影結果を載せています。
しかし今回ご紹介するレンズは同じキヤノンの35mmですが、F2.8でもF1.8でもありません。
F2です。

黒い感じのレンズですね。
先の2本より新しいもののようです。
では良く見てみましょう。

[7回]

マウント部から見るとこんな感じ。
距離計連動部分が広くなっています。


レンズはキレイなんですが、絞り羽根に油がまわっています。
自動絞りではないので油がまわっていても使用上問題ありませんが、やっぱりきれいなほうがいい。
今回のこのレンズは修理依頼品です。
その絞り羽根の洗浄と、ヘリコイドの動きの悪さの修正です。
つまりオーバーホールです。


ではバラしていきましょうか。
まずは矢印のカニ目を外します。


するとこのように、レンズ部分とヘリコイド部分に分かれます。
レンズ部分には例によってピント調整用のシムが入っています。


ではまずヘリコイドから取り掛かりましょう。
赤矢印のマイナスネジ3本を外しますが、その前に、緑矢印のようにマーキングをし、それに加えて繰り出し量を記録しておきます。
今回はピントリングを最短撮影距離側に回した位置でマーキングしました。
マーキングは洗浄すると消えやすいので、できればけがいておいた方がいいです。
繰り出し量の記録はこのような写真を撮っておけば良いと思います。
以上の内容は組みなおした時に同じ位置関係にするための作業です。

では次、

マイナスネジを外すと、レンズ用のヘリコイドと、距離計用のヘリコイドに分離されます。


それぞれのヘリコイドは、写真の矢印の部分の切り欠きと、


この矢印部分の突起で連動しています。
分離した時のそれぞれの位置を記録しておくといいと思います。


バラシを進めてもいい心構えが出来ましたらヘリコイドを分離します。


ではレンズ側ヘリコイドの分解に入ります。
赤矢印の2本のマイナスネジは、ピントリングのストッパーピンです。
そして緑矢印の2本はレンズの位置決めリングの連動部品を留めています。
これら4本を全て外します。


そしたら銀色の部分を矢印の方向にいっぱい回し、どこまで回るか記録しておきます。
今度はめる時は、いっぱい締めこんだ時に同じ状態になるようにはまり位置を調整します。


そしたら反対に回して外します。


ではピントリングを裏返して、レンズの位置決めリングを外しましょう。

これでヘリコイド関係は全て分解できました。
では古いグリスを洗い落とします。
グリスを落とすには私はCRCのエレクトリッククリーナーを使っています。
仕上げにベンジンでもう一度洗って、きれいな布で拭いておきます。

そしたら組みなおします。
ヘリコイドのネジ部にグリスやゴミが残ってないかなど確認して、新しくヘリコイドグリスをつけて、先程記録したものを参考に、組んだ時の位置関係を復元していけば、ヘリコイドのレストア、完了です。

では次回はレンズ部分のオーバーホールをお伝えします。