明日は明日の風が吹く

これまで2回書いてきましたプロタゴン ズームファインダーのレストアの続きです。
前回4日の記事ではファインダーの足の部分をレストアしました。
今回は鏡胴部分をやっていきましょう。
前回もちょっと触れましたが、フィルムコンパクト機にはズームファインダーが内蔵されているのが当たり前でしたが、今のコンデジにはファインダーすらありません。
もしかしたらジャンクなフィルムコンパクト機からファインダーを取り出して、簡単なズームファインダーを作ることが出来るかもしれませんね。
今度ちょっと考えてみよう。
と言うことで、鏡胴をバラします。

まずはズーム用のリングを外しましょう。
矢印のマイナスネジ3本を緩めればリングはこのように外れます。

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そしたら次は、

レンズ前群を外してみましょう。
赤矢印の部品が、化粧リング兼レンズ押さえです。
言うまでもありませんが、緑矢印のところにはまっていました。
細いカニ目になっています。
レンズにキズを付けないように気をつけて、ゆっくり外しましょう。


こちらが外したレンズ前群です。
凸レンズが2枚と、間にスペーサーのリングが入っています。
これらは固定はされていませんが、この個体の場合、油が回っていて、軽くくっ付いていました。

では次、

ズームの可動部をバラします。
矢印のマイナスネジで位置決めされているだけですのでこれを外します。


するとこのようの分かれます。
左の真鍮色のものが、基盤となる鏡胴です。
右のが図民具の可動部になります。
そして奥のあるのがレンズ中群です。

この写真で分かりますでしょうか。
真鍮部品の内側に溝があります。
この溝に右の可動部の突起がはまって回転の力で前後に移動する仕組みになっています。


真鍮の鏡胴を更にバラします。
赤矢印の小さいマイナスネジ2本で留められています。
中にある緑矢印の部品で固定してあって、回転のみ出来るようになっています。


ズーム可動部も外側のリングが外せます。
これは単純にねじ込んでいるだけですので、ゆがまないように全体を包むように持って回せば外せます。

全部外したら、ベンジンで洗浄しましょう。
そして鏡胴内側にはつや消し黒を再塗装します。
これで少しは内面反射が抑えられるといいのですが。
黒い起毛紙を貼るのも手かもしれませんが、ズーミングするためにある程度の隙間が必要ですので、やってみないとうまくいくかわかりません。
今回はやってみていません。

で、鏡胴の問題はというと、少し油がまわっていたことと、少しガタがあることです。
油のまわりは洗浄でOKですが、ガタはどうも構造自体に起因するようですね。

真鍮部分と、可動部分に隙間があるせいで、このガタが出ているようです。
しかし隙間を無くすと当然摩擦が増えて稼動しなくなります。
撮影レンズのヘリコイドのような構造で造ればいいのかもしれませんが、そういう性格のものでもありません。
でもそんなに粗い精度で造られているわけでもありません。
隙間は0.1mm単位のものですが、ズーミングして繰り出した時に掛かりしろが少なくなり、0.1mm程度のガタであっても、先端部では大きなガタに感じてしまうというものです。

ではそのほんの少しの隙間を、摩擦が大きくならない程度に埋めてみましょうか。
となると、何かテープ状の物を貼ればいいでしょう。

しかしアルミテープでは厚過ぎます。
そのほかの薄いテープでもやっぱり厚過ぎますね。
精度がいいばっかりに、ほんの少しの余裕がかえって目立つ結果になってるようです。

ではこれならどうでしょう。

上の写真の矢印の範囲ですが、車の窓に貼るフィルムを貼ってみました。
これならかなり薄いのでシム代わりになりそうですね。
全周貼ると抵抗が出て回せないので、このように部分的に、円周上で対称になるように貼ってみました。
貼る面積は、ズーミングの抵抗にならないように調整しながらあわせました。

これで、完全とは言えませんが、ある程度はがたが抑えられた感じです。

では必要な部分にグリスアップして、元に組んでいきましょう。


ということで、プロタゴン ズームファインダーのレストア、完了です。