明日は明日の風が吹く

発売当時からずっと気になっていたものの、手を出すタイミングをずっと逃していたコンタックスTVSデジタル。
ですけど先日やっと手に入れたのでした。
とは言えジャンク品。状態はというと、レンスがちゃんと沈胴しない。
そこでレンズユニットを分解してみたものの、改善されていません。
さて、どうしましょうか。
でもまぁ、とりあえず電源は入って、撮影することはできなくないんですよ。

試しに撮ってみるとこんな感じ。
曇りであるにもかかわらず、良い発色ですね。

[7回]

この写りがあるから、発売から10年経った今でも人気なんですね。
じゃぁとりあえずこのまま使う？
うーん、
いや、やっぱりそれでは面白くないよね。
でも鏡胴自体が悪かったわけじゃないとなると、一体どこを直せばいいのでしょうか。

考えられるとすれば、ギア関係かなぁ？
20日の記事でもお伝えしたとおり、レンズ駆動用のモータのギアボックスの締結部分が割れてますしね。
ネジは締めたものの、やっぱりこのへんが良くないのかも。

じゃぁもう一回バラしてみましょうか。

で、こちらがレンズ駆動系のギアボックス。
蓋を開けてみると、矢印の部分などが割れていますね。
とりあえずここは瞬間接着剤で固定しましょう。

で、再度レンズの動きを確認してみると、
うん、
やっぱダメですか。
仕方がない。
もう一度レンズユニットを外して、よーく観察してみましょう。

と思って観察するものの、悪い所って無さそうなんですけどねぇ。
うーん。

でも、もしかするとここかなぁ？


レンズ駆動系のギアボックスと、レンズをつなぐ最後のギアが入るところ。
この矢印のところなんですが、
なんとなく欠けたようにも見えるんですよね。

向きを変えてよく見てみましょう。

また鏡胴を全部外して内側から覗いてみました。

で、矢印の部分ですが、やっぱりなんか欠けたように見えますよね。
ここに何かあるとすれば、最終ギアの位置決めをする軸でしょうね。
本来ここに軸が有ったとすれば、それが無くなった状態ではギアの動きも悪くなって、その結果、レンズの沈胴もうまくいかないということは十分考えられます。

では半信半疑ですが軸を復活させてみましょうか。
とは言ってもどうやったらいいですかねぇ？
欠けた相手はカメラ内には残ってないようですし。
しかし相手が残っていたとしても、接着程度でギアの運動に耐えれるかというと疑問です。
実際、本来有った軸は折れてしまっているわけですから。

じゃぁ、突き刺しますか。

最終ギアの軸受部を見ると、1mm強程度の穴ですね。
そこにちょうど入る丸いものがあれば使えるかも。

例えば丸頭のネジなんてどうでしょうね。
と思ったけど、そんなに頭の小さいネジというのも簡単に有りませんし、有ったとしても細すぎて固定できないかも。

と、ひとつ思いつきました。
虫ピンなんてどうでしょうか。
試しに虫ピンの頭を最終ギアの軸受部に入れてみると、
おお、ちょうどいい大きさですね。ガタもほぼ無い。
虫ピンなら結構な長さがありますので固定するにも難しくない可能性が高い。

ではちょっと、これで行けるかどうかやってみましょうか。

軸があったと思われるところに虫ピンが挿せる穴を開けましょう。
ピンの太さは0.8mmほど、ですので下穴は0.7mmで。

穴が空いたら、

そこに虫ピンを挿します。

そして奥まで挿した状態がこちら。

もちろんピンの先は遥か先まで伸びてます。
ですので余分なぶんはカットしましょう。

ニッパーでパチンと切って、
突き出した軸を瞬間接着剤で貼り付けましょうか。

これでどうです？
もしかして直ったりしませんか？

では早速仮組みして動作確認。
が、しかし、
瞬間接着剤で貼った部分はやっぱりすぐに取れてしまいますね。
でもここにそこまでの力が掛かるということは、ここをちゃんと固定すればうまく動くのでは？

ではプラリペアで肉盛して固定してみましょうか。

これなら虫ピンもしっかり固定されて、軸としての機能を全うできるはず。

プラリペアが硬化したら元に組みなおして、スイッチを入れてみますよ。

ははははは、
今までのカクカクした動きが嘘のようにズムーズ。
レンズ鏡胴は、普通に出てきて普通に収納されますよ。
やった、
直った。

ちょっと悦に入りましょう。

ということで、ジャンクなTVSデジタルの修理、完了です。
早く持ち出して写してみよう。