明日は明日の風が吹く

14日の記事までで、ほとんどまともに使えるようになったコンテッサマットSBEです。
ですが、肝心要のツァイスのレンズ、テッサー50mmの前玉が曇っています。
このレンズですが、アルコールをつけても、レンズクリーナーをつけても、ツバをつけても、ベンジンをつけても、クリームクレンザーをつけても、何で拭いても一向にきれいになる様子が有りません。
じゃぁしょうがない。
一念発起です。
ダメになってもいいから研磨してみましょう。
と言うことで金属磨き用のコンパウンドで磨いてみたのですが、これまた全く効果がありません。
色々調べてみると、どうやら「酸化セリウム｣入りの研磨剤なら磨けるらしいのです。
じゃあそんなものが使われている研磨剤って市販ではどんなのがあるのかと思って、これまた色々調べてみたら、

ありました。
｢プロスタッフ｣から出ています。「キイロビン120」
自動車用品店や、ホームセンターの自動車用品コーナーに売っています。

[2回]

本来は自動車のガラスの油膜取りのための物ですが、この製品にはちゃんと、

成分として「酸化セリウム｣が入っています。
「セリウム｣と言うとなじみがない元素ですが、周期表で言うと「ランタノイド｣系です。
そんな元素も普通に使われているんですね。しかも僕らが生まれてくるずっとずっと前にはもう。

アポロ11号が打ち上げられたのが、生まれるよりずっと前って歌われるといやな気持ちになります。

ではこの研磨剤で磨きましょう。
でも前玉が枠から外れないんですよ。
仕方がないからSSTを作って磨きます。

何かのゴム足に、研磨剤に付いていた研磨用のスポンジを切って貼り付けて、これをドリルでくわえて回します。

と言うことでかれこれ何十分も回してみた結果がこちら。

10日の記事で掲載した施工前の写真と比べると、

だいぶ透明になってきましたね。

と、ちょっと気をよくしましたのでとりあえずこれで撮影してみました。

しかーし！
写った画像はドヨンとして、ボヤッとして、ハレーション気味で、発色もコントラストも悪くて、全く使い物にならない写真でした。

もっと磨かないとダメなのかなあと思って、バルブにしてフィルム室からレンズをのぞいてみると、

ナニコレ?
ブツブツ?

ちょっとどういうことですか?
レンズの表面を拡大して見てみましょう。

ブツブツのデコボコ。
曇りを取った下から現れたものは、何かに侵されてデコボコになったかわいそうなレンズの姿でした。

このデコボコを無くすまで研磨しないときれいにならないと言うことですか?
そんなことしたらレンズの曲率が変わってきませんか?
これは事実上、修復不可能って感じですか?

ですね。
再研磨をしてくれる業者に出したとしても、直るかどうかですね。

残念。仕方がありませんが、ちょっとお蔵入りです。
どなたかいい考えをお持ちの方が居られましたら教えて下さい。
じゃなかったら、前玉だけは使えそうな大ジャンク固体を見つけるか。
でもこれと同じレンズを使っているのは、多分これと同じコンテッサマットSBEか、その後継モデルのSTEしか無いのではないかと思います。
前玉の枠を外すことができれば、もしかしたらコンタフレックスのテッサー50mmと互換性があるかも知れませんが。
レンズ交換できないカメラはここが厳しいですね。
レンズ以外は完調になったのに。