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尾道発 - カメラ屋の独り言 -  Presented by せいのカメラ店



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先月17日の記事でM-ROKKORの28mmをニコイチにした話を書きましたが、残った方も何とか復活できないものかと思ってレンズ前群のオーバーホールをしてみました。
そこまでは何とかなったのですが、やはり当初の問題点、ヘリコイドの復活は難しいなという結論でした。
でもなんかできるんじゃないかと思って、今回は悪あがきをしてみました。
DSCF7764.jpg
この写真の左に写っているのが正常なヘリコイド部分。
右のが問題のもの。
見ての通り、ヘリコイドが削り取られています。
でもわずかに残った山のおかげで、完全に機能していないわけではなく、大きなガタがある状態で機能しています。
ではどうしましょうか。

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拍手[7回]

多分一筋縄ではいきませんので、何回かやってみることを覚悟して、修復可能と思われる方法をいろいろとやってみましょう。

まずはとりあえず、正常なヘリコイドを型取りしてみましょう。
DSCF7768.jpg
型取りには「型取くん」を使いましょう。
型取くんを使えば簡単に型が取れます。

DSCF7769.jpg
はい、型が出来ました。
これをヘリコイドが悪くなってる方にかぶせて、隙間に少しずつプラリペアを入れてみましょう。

DSCF7771.jpg
一応出来たんですが、なんかイマイチっぽいですね。
ちゃんとヘリコイドとして機能するか相手をはめてみましょう。

結果はNGです。
思ったより厚くなっていると言いますか、ねじ山の低いところもかさ上げされた感じで、はめられません。

ではプラリペアをはがして他の方法を、
しかしプラリペアは簡単に剥がれました。やっぱり金属にはくっ付かないようですね。
形が出来たとしても強度的にはダメっぽいですね。

では金属にもくっ付くもので、と考えて、
DSCF7797.jpg
エポキシならどうですかね。

型取くんで作った型のヘリコイド部分に薄く塗って、ヘリコイドの痛んでる方にかぶせましょう。
DSCF7798.jpg
これはなんとなくうまくいきそうな気がします。

硬化時間まで待って、型を外すと、
DSCF7799.jpg
おお!
何かいい感じじゃないですか?
では相手の部品をはめてみましょう。

が、
これもダメですか?

どうもこれもちょっと全体的にほんの少し厚いようですね。
それにエポキシの性質上、ちょっと柔らかいようでも有りますし、摩擦が強いようでも有ります。
なのでスルッとはまり込むのは難しいようですね。

これもダメですか。

と、ここまでで気付いたのですが、型取くんで取った型は、ヘリコイドのような0.1mm単位の精度を求めるものには使えないですね。
それが出来るのならヘリコイドも鋳物で作れますね。

では気を取り直して次の方法。
考え方を変えて、ヘリコイド自体の形状を利用して隙間を埋めると言う方法はどうでしょう。

DSCF7808.jpg
たとえばこのシールテープ。
本来は水道管などの配管の継手からの漏れ防止のために、接合部のねじ部に巻いておくものですが、これを使って、その上にグリスを付ければ、もしかしたらうまくいくかもしれません。

DSCF7809.jpg
はい、シールテープを巻きました。
ではこの表面にグリスを塗って、相手の部品をはめてみましょう。

おっ!
今度はちゃんとはまりましたよ。
ヘリコイドはちゃんと動きます。

が、何かあんまりがたつきは解消されていない感じですね。
やっぱりこれでは材質的に柔らか過ぎますか。
それにネジの谷の部分にシールテープが入り込んでいくようで、ちょっと操作するには硬過ぎますね。

惜しい感じですがこれもNG。

では次、
ネジ部に隙間があるからガタがある。
その隙間を埋めればいいのですが、それがほんの0.数ミリ。
そしてある程度強度がないといけない。

ではこれはどうでしょう。
DSCF7804.jpg
レンズのクリーニングペーパーです。
簡単に言えば薄い紙です。
実は紙は結構な強度があります。
しかもこの紙なら結構薄いし、繊維もほつれ難い。

ではこれを適当な幅に切って、ヘリコイドの隙間に矢印のように入れて、
DSCF7805.jpg
そしてヘリコイドグリスではおそらく硬すぎるでしょうから、機械油を少し染み込ませて、
これでどうでしょうか。

うーん。
ある程度ガタは減りましたね。
ヘリコイドは少し固めですが、実用の範囲内でしょう。
完璧とはいえませんが、とりあえずは使えそうですね。

後心配は、挟んだ紙がずれてこないかどうかでしょうか。
何度もヘリコイドを動かした後、紙のズレ具合を見てみましたが、ほぼ大丈夫なようです。
ヘリコイドを削られた方は凹凸がいっぱいあるので、紙が保持されて動かないのでしょう。
ではこれで良しとしましょうか。
不具合が出ればその時考えましょう。

では次。
ピント調整用のシムがなく、ベース部分も削られているところの対策です。
これは以前インダスター50でやった方法を踏襲してみましょう。
DSCF7806.jpg
シムのかわりに、銅線を使います。
どの位あればいいのか分かりませんので、とりあえず線径1.2mmでやってみましょう。

この状態でレンズを組み直して、カメラにつけて、シャッターはバルブにして、フィルム面にピントグラスを当ててピント確認してみます。

するとどうでしょう。
なぜかピントピッタリです。
すばらしい。
こんな偶然も有るもんですね。

ということで、何とか使えはする状態に、レストア完了です。

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◎ 賞賛とエール

リペアーにおける創意工夫、チャレンジ精神にエールを送ります。
これには、いつも頭が下がります。
小生も見習はなくてはなりませんね。

勢理客館長 2011/05/15(Sunday)09:20:48 Edit
◎ Re:賞賛とエール

勢理客館長さん、コメントありがとうございます。
今回の内容はかなり特殊な事例ですので、やってみた割には参考にはならない可能性大ですね。
でもまぁ、ヘリコイドに限らず、もしかしたら何かの修理の参考になるかもしれませんが…
いずれにしても、うまく機能しないものが使えるように復活するのは楽しいですね。

【2011/05/1521:04】
◎ 拍手コメントより

素晴らしい!

Nutsco 2011/05/27(Friday)14:43:51 Edit
◎ Re:拍手コメントより

Nutscoさん、拍手コメントありがとうございます。
難しければ難しいほど面白いですね。
また困難なお題を出して下さい。

【2011/05/2714:45】
◎ 拍手コメントより

有難うございます。ミノルタCLの機械情報を拝見しています。もしかすると修理お願いするかもしれません。その時はよろしくお願いします。

risei 2012/02/14(Tuesday)11:28:21 Edit
◎ Re:拍手コメントより

riseiさん、拍手コメント有難うございます。
ご自分でチャレンジして、バラバラの状態になっても修理お受けします。
連絡は下記へどうぞ。
seino@bbbn.jp
せいのカメラ店

【2012/02/1411:30】
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